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利用者急増中の「Microsoft 365 Copilot」 “一番便利な使い方”をユーザーに聞いてみたMicrosoft 365の利用状況(2025年)/後編

企業において存在感を増す「Microsoft 365 Copilot」。その利用者はついに多数派となり、活用は新たなフェーズに入った。資料作成や会議にとどまらない多様な利用シーンと、ユーザーが実感する具体的な効果とは。

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 前編「Microsoft 365の利用状況(2025年)」で、「Microsoft 365」ユーザーの約6割が利用していることが明らかとなった「Microsoft 365 Copilot」(以下、M365 Copilot)。本稿ではその利用実態を解説する。

9ヵ月で利用率2倍 利用者がついに“多数派”に

 はじめに、M365 Copilotについての理解度を調査したところ、前者では「何ができるかを理解している」(20.9%)と「何ができるかをやや理解している」(56.3%)を合わせ77.2%となった(図1)。


図1 M365 Copilotについての理解度(従業員規模別)

 M365 Copilotの利用状況についても聞いたところ、「利用している」が57.6%となり、利用者が多数派になった(図2)。過去調査と比較すると理解度も利用率も年々増加しており、M365 Copilotの利用定着が進んでいることは間違いない。理解度は2023年12月時に44.7%、2025年1月時に65.1%、今回が77.2%と約2年で32.5ポイント増だった。利用率は2023年12月時に8.0%、2025年1月時に27.6%、今回が57.6%と、直近9カ月間で約2倍になっている。

 理解度も利用率も従業員数が多くなるほど増える傾向にある。特に「5001人以上」の大企業での利用率は75.0%に対し、「100人以下」の中小企業では37.5%と2倍の乖離(かいり)があった。業種別でも「IT関連業」で理解度が9割、利用率が7割超と定着している様子が見られた反面、医療・教育・官公庁などの公共機関においては理解度が6割、利用率は4割と温度差が顕著だ。


図2 M365 Copilotの利用状況(従業員規模別)

 ちなみに「利用していたが解約した」や「利用を検討していたが中止した」「利用していない」と回答した人に理由を聞いたところ「勤務先で許可されていない」や「親会社が利用を許可していない」「会社の管理ポリシーで利用できないため」など、セキュリティ懸念から会社が認可しないというケースがほとんどだった。

ユーザーの9割が「利便性を感じる」と回答、具体的な利用シーンとは?

 では、M365 Copilotはどのような業務で利用されているのか。

 導入企業に利用シーンを聞いたところ、上位に「文章、資料作成支援」(87.9%)や「会議、議事録作成サポート」(44.0%)、「アイデア生成」(41.8%)が続いた。業種別で見ると、IT関連業以外の業種では会議支援で利用する傾向が強い。

 2025年1月に実施した前回調査と比較すると、「ドキュメント検索」が14.3ポイント減少し、「アイデア生成」が10.4ポイント、「チャットやメール対応」が3.5ポイント、「データ分析」が2.9ポイントが増加した。M365 Copilotの利用が一定進んだことで用途が多様化しているのだと思われる。

 利用シーンが拡大し、M365 Copilotの効果を実感しているユーザーも増えているようだ。「Microsoft 365 Copilotの効果をどのように感じているか」を聞いたところ「利便性を感じる」(34.1%)と「やや利便性を感じる」(58.2%)を合わせて、92.3%が評価した。これは前回調査から3.7ポイント増加しており、業種別、企業規模別でも同様の傾向だ。

 利便性を感じた具体的なシーンとして、以下のような声が寄せられた。

  • 議事録作成や、「Microsoft Teams」でのミーティング後のAI要約が便利
  • 自分の知識に依存せずに資料を作成したり調査したりできる
  • レビュー相手がいないときに(M365 Copilotにレビューしてもらうことで)ケアレスミス防止に役立っている
  • 作成したいもののヒントやひな型を提供してくれる
  • アイデアの壁打ちができる

 会議や資料作成などの発生頻度の多い業務で利便性を感じる人が多い一方で、自分専用の“アドバイザー”として利用する人も一定いるようだ。

「最も削減効果が得られた業務」とは?

 M365 Copilotの利用による効果はどの程度あるのだろうか。

 利用者に対し「Microsoft 365 Copilotによって週当たりどれくらいの工数削減効果が得られたか」を聞いた。その結果、週当たりの工数削減効果が60分以上(「1〜3時間」「3〜5時間」「5時間以上」の合計値)の人の割合は「文章、資料作成支援」(49.5%)、「会議、議事録作成サポート」(37.4%)、「アイデア生成」(30.4%)が上位に続いた。資料作成や会議サポートなど利用頻度が高い業務ほど削減工数も多い傾向だ。

 M365 Copilotの利用が拡大している背景には、企業が積極的に利用を促進していることもありそうだ。利用者の勤務先では大多数が「利用手順やガイドの配布」(36.3%)や「社員向け研修やワークショップの実施」(33.0%)、「成功事例や活用シーンの共有」(33.0%)などを実行している。

 前回調査の結果と比較すると、M365 Copilotの利用メリットや活用シーンを啓蒙するフェーズから「利用手順やガイドの配布」や「専任担当者やサポート体制の整備」「業務テンプレートやツールの統合」など、実践のためのサポートにフェーズが移行している点が興味深い。企業による環境整備と、利用者個人のメリットの実感が循環し、M365 Copilotの利用率や利用範囲が拡大していると思われる。

 以上、M365 Copilotの利用動向を紹介した。まだ利用していない、十分に活用できていない企業においては、本稿を参考に活用の検討に生かしてほしい。

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