200円Googleアドオン、kintone AI、SaaS連携 中小企業でも自動化が進む注目ITツール:「Japan IT/DX Week 春 2026」現地レポ(3)
IT展示会の中でも国内最大級の「IT・DX・AI総合展」が開催された。編集部では、当日会場に行けなかった人でも最新のIT事情が分かるように、3記事に分けて注目の製品・サービスを解説している。第3回の本記事では、業務自動化・効率化における注目ポイントを紹介する。
国内最大級のIT展示会「IT・DX・AI総合展」(Japan DX Week、Japan IT Week、EC・店舗Week、営業・デジタルマーケティングWeek)が2026年4月8〜10日、東京ビッグサイトで開催された。
会場に行けなかった方のために、その概要と編集部の注目展示やトピックスを第1回の「セキュリティ」記事と第2回の「AI×業務DX」記事に引き続き紹介する。本記事では「業務自動化」に関する注目ポイントを解説していく。
Google Cloud出展では月額「200円」のアドオン紹介、Geminiを中心に盛況
グーグル・クラウド・ジャパン(以下、Google)のブースは、Gleanとサテライトオフィス、G-gen、富士ソフトとの4社共同で出展された。Googleからは、「Gemini」の利用法やビジネスへのインパクトの説明の他、「Gemini Enterprise」による各種AIエージェントの利用法や効果が説明された。
Gemini Enterpriseでは、Google製AIエージェントの他、カスタムエージェントの作成や利用、サードパーティー製エージェントの追加を容易にできる。また、「Google Maps」のビジネス活用についての解説もあった。マップ上の2.5億超の場所に関する情報が分析可能なデータセットとして提供されることや、ストリートビューの画像分析からインフラ設備などの状態を確認できること、過去も含めた交通データの分析が可能なことなど、さまざまな場所や移動に関する情報の活用ヒントが示された。
共同出展の4社もGemini、あるいは「Google NotebookLM」などのAI活用にまつわるソリューションについてオープンセミナーで語っていた。
共同出展のG-genは、オープンセミナーでGeminiアプリの概要やセキュリティ面での安全性について語っていた。同社は「Google Cloud」の請求代行(代行手数料は無料で、利用料が3%安くなる)や、Google Cloudでのシステムやアプリの開発支援、運用支援、トレーニング、「Google Workspace」の販売と導入支援を担っている。生成AIの実践サポートも、PoCから本番開発、改善まで一貫して支援および並走するという。こうしたGoogle Cloudパートナーは国内に現在約6240件登録されているが、共同出展4社は特に業界をリードすると認定された上位パートナーだ。
サテライトオフィスもGoogle CloudやGoogle Workspaceの導入支援をしており、顧客のニーズをアドオンツールとして自社開発し、セットで提供している。例えば、ワークフローやクラウドCRM、大容量ファイル転送、安否確認、電子帳簿保存法ファイルサーバなどの多数のアドオンが用意されている。同社開発アドオンツールの導入企業は6万社を超えており、アドオン追加でも基本ライセンス価格は月額200円からと比較的安価だ。アドオン数が多くなると割安になり、全アドオン追加でも月額600円なので導入しやすい。
中小企業のERPにも重心をシフトするSAP
EPRベンダーとして有名なSAPジャパンは、展示会場ブースの前に「うちの規模でもSAP?」と大書したのぼりを掲げていた。
SAPのERPは、高価で複雑、導入に手間がかかるといったイメージから大企業向けと思われがちだが、導入企業の80%は中堅・中小企業だという。中堅・中小企業向けのERPは、マネーフォワードなどをはじめとした国産ツールも多いものの、ERP導入率はまだまだ低く、十分な伸び代が期待できる。
SAPの中堅・中小向けパッケージは3種類あり、「SAP All-in-One」が中堅企業のオンプレミスを中心に導入されている他、小規模企業を含めて「SAP Business One」もある程度の浸透をみせている。しかし、「SAP S/4HANA Cloud」の登場により、「SAP S/4HANA Public Edition」をコアにしたSaaSである「GROW with SAP」が第一の選択肢になってきている。
新たな主力となったGROW with SAPは、業界のベストプラクティスに基づいた標準プロセスをそのまま利用する“Fit to Standard”方式のパッケージで、短期間の導入と稼働が可能だ。ビジネスに特化した同社AI「SAP Business AI」とAIエージェント「Joule」も標準機能として組み込まれている。そのため、複雑なワークフローやタスクの自律的な処理が可能になり、多様な現場業務を自動化できる。開発プラットフォーム「SAP Business Technology Platform」(SAP BTP)も含まれ、拡張性も確保されている。Fit to Standardで導入する限り、コスト感が明確であり、中堅・中小企業でも選びやすくなった。
オープンセミナーでは他にも、「SAP Signavio」(BPMプラットフォーム)、「SAP Concur」(経費精算ツール)、「WalkME」(AI利用のDAP)、「SAP LeanIX」(エンタープライズアーキテクチャソリューション)の解説が行われていた。ERPのコンセプチュアルな側面と、具体的な活用法を紹介する機会となったようだ。
ノーコード開発ツールkintoneのAI機能が具体化、プラグインも豊富に
現場業務の省力化や効率化を自前のアプリで実現できるノーコード/ローコード開発ツールも相変わらず人気だ。
サイボウズの「kintone」でも、やはりAIに注力しており、アプリ作成AIやワークフローのプロセス管理設定AI、データ分析を容易にするレコード一覧分析AIといった要素を利用した独自アプリ開発を可能にしている。アプリの省力開発をめざす「kintone AIラボ」の利用事例も公開され、パートナー提供のAIサービスとの連携事例も紹介された。
Kintoneはアプリ開発を容易にするが、それでも開発負荷はかかり、テストや改修に時間とコストをかけてしまうケースもある。そうした負担を低減可能な「プラグイン・連携サービス」が続々と登場している。自社と同様の課題に関する解決例がそれらサービスの中にあれば、自前で開発しなくてもそれを利用すればよい。
サービスは3種類に大別できる。第一に、JavaScriptやCSSを用いた専用拡張機能サービスだ。帳票出力やカレンダー、Webフォーム作成などで、kintoneの情報を効果的に使えるようにするものだ。現在約200件ある。
次に、外部サービス連携だ。電子契約サービス(クラウドサイン)や各種管理サービス(sansanなど)などの既存サービスをkintoneと連携できる。現在約150件の連携サービスがある。
3つ目のセミオーダー型アプリパッケージは、業種業務に特化した専用アプリがパッケージ化されている。すぐに使えるパッケージが現在約40件ある。
このような既存のサービスやアプリパッケージを組み込むことで、各種業務に特化したアプリ開発を効率化しているのがkintoneの特徴といえるだろう。
Kintone連携サービスを数々開発しているトヨクモは、kintoneに直接入力可能なフォームを作成する「FormBridge」や、kintoneからの書類出力を容易にする「PrintCerator」などの連携サービスを提供しており、契約数は1万5000契約以上にのぼる。上場企業から自治体や中小企業まで導入例があるという。
またkintoneはRPAツールの「BizRobo!」や「UiPath」「Coopel」との連携が可能なことから、これらを組み合わせて、kintoneだけでは難しい業務自動化も設計・開発可能だ。
SaaSやアプリの連携をAIで自動化するツールが登場
さて、3回にわたって展示会から受け取ったメッセージを記事にしてきたが、全てクラウド利用のツールであり、多くがSaaSだった。日本企業のSaaS利用数は1社当たり5〜10サービス程度といわれるが、企業によっては数十のSaaSを契約している場合もあり、利用数の増加傾向は明らかだ。
SaaSベンダーはさまざまな業務領域を包括的に扱えるように機能やプロダクトの連携を図っているものの、ユーザーとしてはベンダー推奨のSaaSやアプリでなく、自社に最適なSaaSとの連携や、自社開発アプリなどとの連携を柔軟に作り込みたいニーズがある。そうしたニーズに答えるツールが出てきた。
ジョーシスは「AI連携ビルダー」(AI-Powered Integration Builder)を2026年4月8日から提供している。プレビュー版の導入企業は100社を突破しており、先行利用企業からは高評価を得ているという。SaaSの連携先があらかじめ決められたカタログの中からしか選べない制限を解消し、新しいSaaSや自社開発アプリとの自由な連携を可能にしている。
AI連携ビルダーは、ジョーシスが提供するSaaS管理とデバイス管理のプラットフォーム「Josys」で稼働する。Josysは、SaaSの契約や利用状況の可視化、シャドーIT(野良SaaS問題)への対策、セキュリティリスクの審査や管理、アクセス権限の管理、従業員にひも付けたデバイス管理によるコンプライアンス確保といった機能で、運用管理負荷を低減することに貢献している。その知見により、従来のSaaS管理ツールの連携にまつわる制限を取り払う技術を開発したという。
連携の設定は、ブラウザ拡張機能の有効化と、対象アプリへのログイン、画面上の項目のマッピングという実に簡単な方法だ。コードを書く必要は一切ない。裏側での連携はAIがやってのける。SaaSやアプリの連携は業務プロセスを連携させることにつながり、業務自動化を大きく進展させることができる。
SaaS利用が社内で拡大していく中で複雑化していく運用管理をシンプルにし、一方でSaaSや社内アプリとの連携をごく簡単に実現できるこの仕組みは、これから大きな反響を呼ぶと思われる。
以上、Japan DX Weekで気になったソリューションやツールについて記した。次のIT・DX・AI総合展は2026年10月21〜23日、千葉県の幕張メッセで開催される。最新製品やトレンドに触れるよい機会になるので、都合がつく方は参加を予定しておくことをお勧めする。
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