会社員の「2人に1人は生成AI使っていない」 スキル格差とセキュリティ不安が導入の壁に
SHIFT AIは会社員へのAI調査結果を公表した。時短メリットを実感するユーザーがいる一方で、ルール未整備を背景に「シャドーAI」や「AI疲れ」といった課題も顕在化している。組織的な活用には、教育とガバナンスの整備が急務といえる。
SHIFT AIは2026年4月30日、全国の会社員706人を対象に実施した生成AI活用実態調査(調査期間:2026年4月20〜22日)の結果を公表した。調査では、業務で生成AIを「使っていない」と答えた割合が56.3%に達し、2人に1人が「AIを使っていない」という。
「2人に1人は生成AI使っていない」 AI活用の二極化進む
調査では、生成AIの利用状況について「日常的に使用する」と答えた人が14.7%、「時々使用する」が20.1%、「試しに使用したことがある」が8.9%、「関心があるが使用していない」が20.3%、「関心なし」が36%と回答が分かれた。「関心なし」が最多で、一切使っていない層は合わせて56.3%に上る。日常的に使うと回答したグループは、同社が2025年3月に実施した前回調査より増えたが、関心がない層は依然多い。
生成AI活用を検討した背景に関しては、「人手不足に対応したい」が35.1%が最多となった。以下、「データ分析に時間がかかる」(27.5%)、「サポート対応を改善したい」(20.8%)、「コンテンツ制作を早くしたい」(17.4%)などが続き、人員不足や業務効率改善への関心が見られる。
導入時の障害としては、「セキュリティ面で不安が残る」(31.7%)、「個々人の生成AIスキルがまちまちである」(30.2%)が上位を占めた。次いで、「導入する社内体制が整っていない(導入フローや担当部署など)」(15.2%)、「AI導入の必要性を感じない」(13.6%)、「導入コストが高い/費用対効果が読めず社内説得ができない」(9.9%)が続いた。
活用したい業務としては、「業務プロセスの自動化」が33.9%と最多で、「データの分析とインサイト抽出」24.6%、「生産性向上のためのサポート」23.9%、「顧客対応の改善」19.4%などが続いた。効率改善やデータ活用に関心が集まる結果となった。
研修内容の希望については、「実際の業務への応用例と事例紹介」(33.6%)、「生成AIの活用方法と導入プロセス」(30%)、「導入後の運用・改善方法の習得」(29.7%)が上位に上がり、実務に直結する内容への要望が多かった。「生成AIに関する倫理とリスク管理」(22.9%)、「ハンズオンでのAIツール操作体験」(18%)も一定の割合を占めた。
社内ルールの整備状況において、「分からない」が39.8%と最多で、「明確なルールがあり周知されている」は11.8%にとどまった。「ルールはなく各自の判断に委ねられている」も23.5%あり、統制体制の不足が浮き彫りとなった。
業務利用の経験においては、「AIで業務が楽になった実感がある」の13.7%に対し、「AIを使いすぎて自分で考える力が落ちた気がする(AI疲れ)」(13%)、「AIを使わない同僚・上司との温度差を感じた」(12.3%)などの課題も確認された。「AIの回答を確認せずそのまま使ったことがある(シャドーAI)」(10.9%)、「会社の許可なく個人判断でAIツールを使ったことがある」(9.5%)も見られた。
業務時間への影響については、「生成AIを使っていない」(52.1%)が過半数を占めた。生成AIを活用しているグループでは、「週1〜5時間削減できた」(17.6%)が最多となり、「週5〜10時間削減できた」(6.2%)、「週10時間以上削減できた」(3.5%)を含め、27.3%が時間削減を感じている。
現在の活用レベルについても「使っていない」(50%)が半数を占めた。「基本的な使い方で日常業務に取り入れている」(18.8%)、「使えるが、活用しきれていない感覚がある」(17%)と、活用が進んでいない層も多い。「自分でプロンプトを工夫し、高度な業務に活用している」は7.6%にとどまった。
調査から生成AIの認知は広がる中、組織全体での活用は進んでいない状況が示された。規則の未整備やスキル差、不安などが要因となり、個人ごとの利用に依存する段階にあるようだ。企業側には、統制と教育を含めた環境整備が求められる。
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