SaaS引継ぎ、7割超が不十分と回答 機能の未活用やオーバースペックも運用課題に
アイアットOECは企業の情報システム担当者を対象にSaaS運用実態を調査した。導入目的の未把握や引き継ぎ不足、機能の未活用が目立ち、業務に合わない高機能製品による費用負担増も判明した。
アイアットOECは2026年5月14日、企業の情報システム担当者を対象に実施した「SaaSの運用に関する実態調査」の結果を発表した。調査の結果、SaaS導入の目的や背景が十分に共有されていない実態や、搭載機能を使い切れていない状況が浮き彫りとなった。
「SaaS引継ぎ不十分」7割超え SaaS運用のブラックボックス化と継承課題
DX推進を背景に、多様なSaaSを導入している企業は多い。他方で、人事異動や退職時には業務での使用方法だけが継承され、導入経緯や運用方針まで共有されないケースもある。こうした状況が、不要なライセンス契約や運用負荷の増加を招く要因になっている可能性があるとして、同社は調査を企画した。
まず、導入目的の把握状況を尋ねた質問では、「一部のみ把握している」が38.5%で最多となった。「全く把握していない」は16.1%、「ほとんど把握していない」は13.3%だった。これらを合計すると67.9%となり、多くの担当者が導入目的を十分に理解できていない実態が明らかになった。「すべて把握している」は32.1%にとどまった。
引き継ぎ状況に関する設問でも課題が見えた。「基本的な操作方法や日常的な業務のみ引き継がれている」が45.8%で最多となり、「ほとんど引き継がれていない」が14.9%、「全く引き継がれていない」が13.0%だった。導入背景や利用方針まで詳細に共有されているとの回答は26.4%にとどまり、73.7%が十分な継承がされていない状況を示した。
機能活用の面でも、SaaSを十分に使いこなせていない企業が多い。導入済みSaaSの搭載機能のうち、全社的に活用している機能の割合を尋ねたところ、「5割以上6割未満」が19.1%で最多だった。「3割以上4割未満」が15.2%、「6割以上7割未満」が16.7%となり、6割未満の回答を合計すると63.4%に達した。搭載機能の多くが未使用のまま残されているケースも少なくない。
業務要件との適合性については、「適切である(過不足ない)」が56.4%だったものの、「スペック不足である(機能が足りていない)」が23.0%、「オーバースペックである(機能を持て余している)」が20.6%となった。適合していないとの回答は合計43.6%に上り、半数に近い企業が現状のSaaSに何らかの不満を抱えている結果となった。
高機能すぎるSaaSを導入している企業では具体的な弊害も生じている。「不要なコスト(ライセンス費用など)の増加」が52.9%で最多となり、「現場での定着率の低下」が41.2%、「保守運用負担の増加」が36.8%と続いた。利用しない機能を含むライセンス契約や、複雑な操作体系による現場負担が問題視されている。
現場主導でシステムを構築・改修できる環境への需要も高かった。「やや感じる」が48.8%、「非常に感じる」が17.0%となり、合計65.8%が必要性を認識していた。情報システム部門だけではなく、実際の利用部門が業務内容に合わせ柔軟に調整できる仕組みを求める声が強いことがうかがえる。
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