AI導入は進んでも現場は手作業? デジタル業務の手間で年51営業日を損失 WalkMe調査
WalkMeは年次調査レポート「デジタルアダプションの状況 2026」を公表した。企業のAI投資が拡大する一方で、従業員のAI利用やAIへの信頼は広がっておらず、経営層との認識差や未承認AIツールの利用実態が明らかになった。
WalkMeは2026年5月15日、年次調査レポート「デジタルアダプションの状況 2026」を発表した。調査結果からは、AIの投資が拡大する一方で、現場での活用や定着が追い付いていない実態が見て取れる。
54%がAIを使わず手作業でタスクを完了
調査によると、過去30日間に54%の従業員がAIツールを使わずに手作業でタスクを完了しており、33%は「AIを全く使っていない」と回答した。企業側の投資が進む一方で、従業員の業務利用は広がっていないことが分かる。
経営層と従業員の認識差も大きい。「ビジネス上の重要かつ複雑な意思決定の場面でAIを信頼する」と答えた従業員は9%にとどまったのに対し、経営層では61%だった。
また、経営層の88%は「従業員に十分なツールを提供できている」と認識している一方、そう考える従業員は21%にとどまった。生産性に関する見方にも差がある。経営層の81%は「AIによって生産性が大幅に向上した」と考えている。一方で、従業員は週7.9時間を、デジタルツールの使いにくさや操作上のストレスへの対応(フラストレーション対応)に費やしている。
こうした状況を反映し、従業員が「テクノロジーフリクション」、つまりシステムやデジタルツールを使う際の摩擦やつまずきによって失っている時間は年間51営業日相当に上る。これは2025年比で42%悪化した水準だ。デジタル投資は2025年比で38%増加した一方で、その40%は期待した成果につながっていないという。
未承認AIツールの利用、いわゆるシャドーAIの広がりも確認された。過去30日間に45%の従業員が企業未承認のAIツールを使用しており、そのうち36%は機密データを扱う業務にも利用していた。一方で、34%の従業員は「自社が承認しているAIツールを把握していない」と回答しており、利用ルールや周知にも課題があることが分かった。
なお、この調査は従業員1000人以上の企業を対象に、14カ国3750人の経営層および従業員を対象に実施したものだ。
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