書類の電子保存「どこを探せばよいのか迷う」が80%超え 紙から変えても残る課題
データ保存の電子化は利便性を高める一方、複数ツールにまたがり目的の書類が見つけにくいという問題も生みやすい。業務文書の管理・参照を担う会社員を対象とした調査で、企業の抱える書類データ管理の課題が見えてきた。
業務文書のデータ化は、情報量が増え続ける現代のビジネスにおいて欠かせない。一方で、保存先となるツールが多様化したことで、必要な文書がどこに保管されているのかが分かりにくいという課題もある。IT・情報通信業で業務文書の管理・参照を担う会社員212人を対象にFleekdriveが実施した調査から、企業における文書保管の実態が明らかになった。
保存先が複数に分かれる企業は75% 更新状況の混乱や属人化も課題に
開発や提案、保守・運用などの現場で取り扱う文書の種類や量は増加している。文書の保存先も社内ファイルサーバやクラウドストレージ、ビジネスチャット、個人用端末など多様化しており、必要な文書の所在や最新版の判別が難しくなるケースが増えている。その結果、文書を探す時間や確認の手戻りが日常業務で積み重なり、生産性の低下につながっている。
業務文書の保管先に関する設問では、「社内のファイルサーバ(NAS・共有フォルダ)」が57.5%で最多となった。「ビジネスチャットのファイル機能(『Slack』『Teams』など)」は51.9%、「クラウドストレージ(『Googleドライブ』『Box』『Dropbox』など)」は50.0%だった。その他、「個人のPC・個人アカウントのドライブ」は34.0%、「文書管理システム・専用の文書管理ツール」は33.0%、「社内Wiki・情報共有ツール(『Confluence』『Notion』など)」は32.1%、「紙の書類・キャビネット」は25.5%、「メール添付の履歴」は21.2%と続いた。複数の保管先が併存する状況が確認された。
文書の保管場所数では、「2〜3つに分かれている」が43.4%、「4〜5つに分かれている」が19.8%、「6つ以上に分かれている」が11.8%となり、2カ所以上に分散している回答は計75.0%だった。「1つにまとまっている」は12.7%だった。
必要な文書を探す際、保存場所が分からず、どこを探せばよいか迷った経験について尋ねたところ、「よくある」が20.3%、「時々ある」が35.8%、「たまにある」が28.8%だった。「迷った経験がある」と回答した人は合計84.9%に達し、多くの担当者が文書の所在把握に課題を感じている実態が見えた。
分散によって生じる問題では「目的の文書を探すのに時間がかかる」が59.1%で最多だった。「どれが最新版か分からなくなる」は42.1%、「必要な文書に自力でたどり着けないことがある」は32.1%、「同じ内容を複数の場所に転記・コピーする作業が発生する」は31.4%、「古い情報を参照してしまうことがある」は30.2%、「同じ文書を複数のツールで二重に管理している」は27.0%となった。
旧版文書の参照による手戻りやトラブルの経験では「頻繁にある」が9.9%、「時々ある」が49.1%、「一度はある」が25.5%で、経験者は計84.5%だった。
その要因としては、「どれが最新版か判別する仕組みがない」が55.9%で最多だった。「置き場所がバラバラで、更新の有無を追えない」は43.0%、「更新・管理のルールが定まっていない」は38.5%、「更新する担当・責任の所在が曖昧」は33.5%、「そもそも更新されないまま放置されている」は20.7%となった。
担当者の退職や異動時に生じた支障では、「必要な文書が見つからず、探すのに時間がかかった」が43.9%で最多だった。「前任者にしか分からず、内容を再現・作り直すことになった」は38.2%、「新メンバーの引き継ぎ・立ち上がりが遅れた」は30.7%、「全社共通の置き場がなく、新任者がどこを見ればよいか分からなかった」は23.6%、「過去の経緯やナレッジが失われた」は18.4%だった。「特に困った経験はない」は17.0%にとどまり、多くの回答者が支障を経験していた。
文書管理状況が日常業務へ及ぼす影響では「非常に影響している」が13.7%、「ある程度影響している」が59.0%で、計72.7%が業務効率への影響を認識していた。
探索時間や旧版資料による手戻りで失われる時間は、「週5時間以上」が5.2%、「週3〜5時間程度」が21.2%、「週1〜3時間程度」が27.4%だった。週1時間以上の損失は計53.8%となった。
文書管理ツールに求める項目では「情報を一元管理できること(正本を1か所に集約)」が64.6%で首位となった。「検索のしやすさ(目的の文書にすぐたどり着ける)」は54.7%、「バージョン管理(最新版・更新履歴の管理)ができること」は47.2%、「操作ログ・監査性(誰がいつ閲覧・編集したか分かる)」は20.3%、「細かな権限設定ができること」は19.3%、「保存容量の大きさ」は16.0%、「操作の使いやすさ」は12.7%だった。
調査結果から、保管容量より、情報集約や検索性、版管理を重んじる傾向が示された。文書分散や旧版参照、担当者交代時の支障など、文書管理を巡る現状も数値として示された。
なお、調査はFleekdriveが、IDEATECHが提供するリサーチPRサービス「リサピー」の企画によるインターネット調査によって実施した。対象は、IT・情報通信業に勤務し、業務上の文書の管理・参照に携わる会社員212人。調査機関は2026年6月23〜24日。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
生成AIの利用ルール「整備されていない」が最多 個人だけでなく企業間でもAI格差
生成AIを業務で活用する人が増えている一方、その活用度合いは個人によって差が出ている。企業の利用ルール整備も追い付いていないのが現状だ。活用においては課題も多いことが、あるアンケートで明らかとなった。
「ナレカン」が正式ローンチ “非IT企業向け”AIナレッジツールの特徴とは
Stockは非IT企業用のAIナレッジツール「ナレカン」を正式ローンチした。同サービスは、資生堂や古河電気工業、久原本家グループで問い合わせ削減や知識共有、利用拡大の成果を得ている。同社が、正式ローンチに至るまでの経緯を報告した。
ITフリーランスの平均単価、「AIコンサルタント」を抜いた“高単価職種”は?
フリーランス向け求人サイト「テクフリ」の登録データを基盤に2026年5月のITフリーランス人材市場を調査したところ、新規登録人数は4月比13.7%減少、総人数は1.2%増加した。AI関連職種やネットワークエンジニアなどは希望単価が高水準を示した。
コスト削減にAIは効果なし? 利益が変わらない企業が過半、手直しも課題に
AI活用企業507人調査で、売上高拡大を目的にAIを導入した企業の約7割が営業利益増を実感した。一方、コスト削減を目的とした導入では利益不変が過半となり、プロンプト格差や手直し、データ連携制約などの課題も浮かび上がった。



