「親和性ならM365」でも高崎市がGoogle Workspaceを選んだ理由
高崎市役所は庁内のグループウェアとして、Google Workspaceを導入した。従来使用してきたOffice製品との親和性が高いMicrosoft 365と比較した上で、決定したものだという。なぜ同市はGoogle Workspaceを選んだのだろうか。
群馬県の高崎市役所は、情報サービス事業を手掛ける電算システムの支援の下「Google Workspace」を導入した。同市は「Microsoft 365」とGoogle Workspaceの2種を比較検討した末、後者の導入を決定したという。その決め手はどこにあったのだろうか。
高崎市「Google Workspace」導入の決め手は
高崎市役所では再任用職員や嘱託職員などを含め、約4000人が勤務する。市は従来、グループウェアをはじめとする多数の業務システムをオンプレミスで運用していた。庁内には内線電話や紙を前提とした業務が残り、共有ドライブの保存容量不足や、必要な情報を探しにくい検索性能の低さなど、複数の課題を抱えていた。そこで、グループウェアのクラウド移行を検討した。
移行方式の選定において、財務会計や文書管理をはじめとする既存のオンプレミスシステムとの併存が前提となった。高崎市では庁内ネットワークの構成を大きく変更する方式への移行は現実的ではないと判断。そこで、既存のネットワーク分離を維持しながら、一部のクラウドサービスへ直接接続できる環境を整備し、近隣自治体に導入実績があるMicrosoft 365とGoogle Workspaceを比較した。
Microsoft 365は、従来使用してきた「Microsoft Office」製品との親和性が高く、職員が操作方法の違いに戸惑うリスクを抑えやすい点で優位性があった。ただし、3000を超えるアカウントを想定する高崎市にとって、ライセンス費用を含む総コストが大きな障壁となった。
高崎市はGoogle Workspaceの管理コンソールの使いやすさや検索性能、ドライブ容量を評価した。従来、課題となっていた情報の探しにくさや保存容量の不足を解消できると判断したためだ。
検証では、文書作成や表計算ツールの操作感が従来製品と異なることが課題になった。だが同市は、職員が日常的に使ううちに慣れられると判断した。しかし、庁内の一部システムでは「Microsoft Excel」などのマクロを使用し、過去に作成した様式やテンプレートも継続して利用する必要があった。
そのため、市は文書作成や表計算を全面的にGoogle Workspaceへ移行せず、マクロや過去の様式を利用する業務では、Microsoft Officeを含む従来のオフィスソフトを継続して利用する方式を選んだ。これによって、既存システムでのマクロ利用や過去の様式の継続利用に対応し、段階的な移行を図る環境を整えた。オフィス互換ソフトを残したことは、全業務の手順を同時に変更しなくてもよい安心感につながり、導入時の職員の動揺を抑える緩衝材となったという。
新しいツールの導入直後は庁内に戸惑いも生じたが、Geminiとオフィス互換ソフトの存在が抵抗感を和らげた。Geminiの利用は、生成AIに慣れた若手職員だけでなく、「制度について今さら部下に聞きにくい」と感じる管理職にも広がったという。「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)を含むAI機能は、導入検討時の想定を上回る速さで進化し、現在の業務効率化に寄与している。
高崎市役所は今後、各課に蓄積された知識を庁内で共有する体制を強化する。Google Workspaceを導入して利用する段階から、職員が機能を十分に活用する段階へ移行するため、担い手の育成にも取り組む。クラウド型グループウェアと生成AIの活用を庁内に定着させ、自治体DXの推進と市民サービスの改善につなげる方針だ。
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