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Slackの新機能「リスト」の使いどころは? プロジェクト管理専用ツールとの違い

Slackは本格的なプロジェクト管理プラットフォームではない。しかし、新機能によりユーザーは高度なクラウドサービスで行うようにタスクの整理や割り当て、追跡ができるようになる。

» 2024年07月05日 08時33分 公開
[Don FluckingerTechTarget]

 2024年6月6日、SalesforceグループのSlackは、プロジェクト管理機能「リスト」をリリースした。クラウド型のプロジェクト管理ツールのように、タスクの整理や割り当て、追跡が可能になる。

 近年は、プロジェクトに関わるデータが部内に散在し、生産性低下の原因として問題視されている。同社は「Slack」でプロジェクトデータやタスクを一元的に管理することで、この課題を解消できると考えた。ここは直接的に本旨に関係する内容ではなさそうなので、トルツメした方がシンプルかもしれません。どのような機能を持ち、どのようなケースにフィットするのか。

Slackの新プロジェクト管理機能「リスト」とは? AsanaやJiraと比べたメリット、デメリット

 2023年にSalesforceが開催したカンファレンス「Dreamforce」でプレビューされたSlackのリスト機能は、チャットやビデオ通話からタスクと思われる情報を抽出し、担当者を割り当て、締め切りを設定し、追跡できる機能だ。

 Slackのリストが管理する日常的な「プロジェクト」には、従業員に対するオンボーディングの手順や個々のマーケティングキャンペーン、企業全体の技術展開などが含まれる。

 Slackのリストはプロジェクト管理ソフトウェアではないが、見過ごされがちなタスクを把握し、自動的に担当者が割り当てられる。タスクに関する情報は、チャットやハドルミーティング、ワークフロー、デジタルワークスペースの「Slack Canvas」など、多くのチャネルに存在する。

 調査企業であるConstellation Researchのリズ・ミラー氏(アナリスト)は「Slackは個別のタスク管理ワークフローを提供しており、企業全体におけるプロジェクト管理にはあまり適していない」と述べている。しかし、大規模な企業環境でもこれらのタスクは存在する。これらのタスクは、サプライチェーンやエンジニアリング、財務における従来のプロジェクトマネジャーによって監視されている。

 技術の面から見ると、Slackのリストは部署レベルの単純なプロジェクト管理や中小企業には使えるだろう。しかし、部門横断的なプロジェクトがより複雑に存在する大企業には適していない。

 「プロジェクト管理をSlackのリストに移行しようとする人は失望するだろう。一方、現在の環境で付箋(ふせん)や電子メール、『Excel』などを使っていて、それに満足しているのであれば、Slackのリストはゲームチェンジャーになる」(ミラー氏)

 「Slack AI」は2023年2月に有料のアドオンとしてリリースされた。このパッケージに含まれる生成AIツールは、会話のスレッドやチームチャンネルの内容を要約し、検索の要約も行う。

 Slackのリストが開発された背景には、チームごとに異なるプロジェクト管理プラットフォームを使っている大企業内部でのコミュニケーションを向上させる意図があった。タスクはチーム外にも割り当てられ、必要に応じてSlack上で追跡できる。通常、こうした動きは組織全体にまたがる。

 Slackのケイティ・スティーグマン氏(シニアディレクター)は、次のように述べた。

 「私たちがよく目にするのは、マーケティングチームが『Asana』のような製品を使い、エンジニアリングチームが『Jira』を使っているようなケースだ。これらのチームが部門横断的に連携するのは難しい。全てのチームに全ての製品ライセンスを購入するわけにはいかない」

 コンサルティング企業であるIDCのウェイン・カーツマン氏(アナリスト)は「Slackのリストは、複数のアプリケーションにまたがる機能を統合した効率化ツールだ」と述べた。

 「Slackのリストを導入することで、ユーザーは異なるアプリケーション間を行き来する必要がなくなる。また、すでにチームが共同作業を行っているプラットフォーム内に、新しいプロジェクト管理機能およびタスク管理機能を導入できる」(カーツマン氏)

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