自動化に大きく舵を切る「ストレージ管理」はどこへ向かう?:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
クラウドコンピューティングの進展やフラッシュストレージなど新たなストレージの台頭により、ストレージ環境は劇的な変化の中にある。「ストレージ管理ツール」の最新動向に迫る。
ストレージ管理が持つ機能
ここでストレージ管理ツールが持っている代表的な機能についてみていこう。大きな軸としては、パフォーマンスに関連した機能をはじめ、信頼性や可用性を高めるための機能、柔軟性を高めながら効率的に管理する機能、そして単一のVIEWで全体を管理する機能などに分けることが可能だ。
- ストライプ
- 小型のストレージを筐体間でストライピングすることでパフォーマンスを向上
- オンラインデフラグ
- ファイルシステムをオンラインのままデフラグすることで断片化を防止
- マルチパス
- 複数のストレージ間ネットワークをマルチパスでつなげることでボトルネックを解消
- ミラー
- 異なるベンダー間のストレージ移行をストレージ間ミラーによりノンストップで実現
- スナップショット
- 独自のファイルシステムを利用して整合性を確保しながらスナップショットを実現
- レプリケーション
- 異なるベンダーのストレージを用いたレプリケーションを実現
- クラスタファイルシステム
- 必要に応じてストレージ筐体を追加することで可用性を向上
- ボリューム&ファイルシステム拡張
- 無停止のままファイルシステムとボリュームの拡張、縮小が可能
- OS移行
- 異なるOS間でファイルシステムのやりとりを実現し、OS移行時の負荷を軽減
- ストレージマップ
- 事前に設定されたポリシーに沿ってボリュームとファイルシステムを自動作成
これら豊富な機能の中でも、仮想環境において重要になる「I/O最適化機能」やフラッシュストレージの登場によって再び注目されている「自動階層制御機能」について詳しく見てみよう。
I/O最適化機能
I/Oの最適化は、パフォーマンス性能を優先順位に応じて最適化する機能であり、QoS自動化機能とも表現できる。業務の優先度に応じて設定された目標のレスポンスタイムに向けてストレージリソース(帯域幅)を自動調整する。
具体的に性能情報として利用するのは、仮想ストレージプールのI/Oビジー率はもちろん、管理コントローラーがある場合はそのポートごとの転送量やビジー率、ファイバーチャネルスイッチポートのデータ転送量などを判断しながら自動調整が行われる。
自動階層管理機能
ストレージへのデータアクセス頻度から、事前設定したポリシーに応じてディスク間で自動的にデータの再配置を行うことが可能な機能だ。使用頻度の低いデータは安価で大容量のニアラインディスクに、アクセス頻度の高いデータは高速処理が可能なSSDに配置することで、レスポンスタイムを短縮し、パフォーマンス向上に寄与する。
また、アクセス頻度のみならず、バッチ処理が必要なデータのみ夜間にはSSDにデータ移動させ、バッチ処理の高速化を促すといった使い方も可能となる。
なお、自動階層化については、筐体内での「縦の階層化」もさることながら、スケールアウトさせた別筐体のストレージによる「横の階層化」を可能にする製品もある。横の階層化はデータのアクセス頻度を軸にした階層化というよりも、データの分散配置によるパフォーマンスの最適化が主な目的となる。
コラム:管理不要の脱RAID製品も
ストレージ管理の機能には、データ保護やパフォーマンス向上などの機能が備わるが、新たなアーキテクチャを採用することでハードウェア上でフルオートマチックに全ての環境を最適化する特徴的な製品も登場した。
グリッド型の分散アーキテクチャを採用し、それぞれのノードごとにCPUやディスク、メモリを持つ製品だ。このストレージは、ディスクへの書き込み時に常に二重書きを行う仕組みで、論理的に用意された1億8000万個ある1MBの部屋に対して均等に書き込みを行う。RAIDのようなパリティは持たず、どのノードを見ても均等に書き込みがフルオートで行われるという「脱RAID製品」だ。
このようなストレージでは物理的なサイジングをユーザー側で行えないが、ストレージ設計に頭を悩ますことなく均一な設計が可能になる。ユーザー自身がストレージ管理を行う必要がないのだ。
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