失敗事例から学ぶ、失敗しない「UPS」選び:IT導入完全ガイド(2/6 ページ)
東日本大震災で電力不安を体験した企業の多くは「UPS(無停電電源装置)」の見直しを図った。あれから数年、想定外の事態を体験した企業も少なくないという。
アラートを無視していたら、イザというときに……
失敗事例
UPSにバッテリー交換時期のアラートが表示されているが、業務優先で無視していたら、電源トラブルが発生したときに機器を保護できなかった……。
UPS運用で最重要となるのが「バッテリーの管理」だ。ほぼ全ての製品でバッテリーの寿命が近づくとインジケーターにアラートを表示したり、アラームを鳴らしたりして警告する。管理ツールと連動する製品ならば担当者宛てにメールを送信する機能もある。
それでもなお、バッテリー交換を怠っていたため、「電源トラブル発生」という事態に陥ったときにUPSが真価を発揮できなかったという失敗は多くあるという。UPSに内蔵されるバッテリーには基本的に鉛電池が採用され、その寿命は3〜5年。ここでいう寿命とは、バッテリーからの電力供給時間が新品時の「半分になる程度」とみていい。
「半減なら、まだまだ使えるんじゃないの?」と思うのは甘い。鉛電池の特性からいって、この辺りから性能が急激に低下する傾向にあるという。それ故に、ある日突然バッテリーからの給電ができなくなるという事態になりかねない。アラートやアラームを確認したら、即時バッテリー交換を行うのが失敗回避の最有力手段といえるだろう。
なお、UPSの内蔵バッテリーは電源につないだまま交換(ホットスワップ)できるものが多い。「UPSにつないだ機器が停止できないからバッテリーの交換はムリ」などという言い訳はできない。むしろ、ホットスワップ対応機だと、UPSを停止した状態でバッテリー交換を行うと端子部からスパークが生じ、機械的、人的な被害が発生することもあるというから注意が必要だ。
最近では、リチウムイオン電池を採用して長寿命をうたうUPS製品も少なくない。例えば、シュナイダーエレクトリックの「APC GS Pro 500」(図4、出力容量500VA/300W)はリチウムイオン電池を採用し、バッテリー寿命は8年(カタログ値)だ。
しかし、リチウムイオン電池搭載製品の価格は、性能が同一クラスの鉛電池搭載製品の2〜3倍になるという。導入コストを重視するのか、バッテリー交換の手間も含めたランニングコストを重視するのかが製品選びの1つのポイントとなるだろう。
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