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6つの企業事例で分かる「アプリケーション仮想化」活用術IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

多くのスマートデバイスが業務利用される昨今、これまでの働き方と異なる「ワークスタイル変革」に取り組む企業が増えた。アプリケーション仮想化の活用方法を紹介する。

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 ここで、アプリケーション仮想化でワークスタイル変革を実現した幾つかの事例を見ていこう。中には、デスクトップ仮想化によって実現したものもあるが、仮想化によって集中管理するという意味で使い方は変わらないため、あわせて紹介する。

種子島や屋久島、離島でも十分なデータ活用が可能に:鹿児島銀行

 鹿児島銀行では、タブレットやスマートフォンなどマルチデバイス対応をはじめ、個人のデバイスを利用するBYOD環境の整備を図ることで、新しいワークスタイル実現を目指し、アプリケーション仮想化ツール「XenApp」を導入した。

 物理サーバにはマイクロソフトのHyper-Vを使い仮想化し、その上でXenAppを動かしている。種子島や屋久島、奄美大島などの離島では十分なネットワーク帯域を確保できないケースでも、音声や動画などのデータ活用を可能に。端末が故障しても交換すればすぐにアプリケーション環境が再現でき、運用効率が向上。必要な環境をどこからでも利用できるワークスタイル変革を実現した。

オフショア開発先での開発環境維持の負担軽減に:大和総研

 システムインテグレーション事業を手掛ける大和総研では、北京をはじめ中国にある複数の拠点でオフショア開発しているが、開発環境、テスト環境、本番環境など複数の環境を立ち上げて開発する必要があった。この環境維持の負担を軽減するべく、アプリケーション仮想化ツール「XenApp」を導入した。

 統合開発環境や各種開発ルール、コンパイラなど約110種類を超えるアプリケーションがアプリケーション仮想化ツール上で稼働している。中国の各拠点から東京のデータセンターを経由したインターネット環境を利用させないといった中国の法規制にも配慮するといった工夫も行う。

あらゆるデバイスで情報にアクセス:福井大学医学部附属病院

 福井大学医学部附属病院では、麻酔や生体情報に関連したシステムが動作する端末に他のアプリケーションを導入することなく、医師に多いMac環境、看護師のWindows環境、診察室や病室、検査室などでも使いやすいiPadやAndroid端末など、BYODも含めたあらゆる端末で医療情報システムが利用できるよう、アプリケーション仮想化ツール「XenApp」を約1000台のデバイスに向けて導入した。

 バーコードを読み取るハンディターミナルなど特定業務に必要なデバイスを多く持ち歩くことなく、複数業務を1つの端末で行うことで看護師業務の効率化を実現。実習生にiPadを持たせて電子カルテを利用させても、情報漏えいする心配が不要になった

「PC返還のための帰社」を減らして効率アップ:キリン

 酒類事業をはじめ総合的な飲料事業を手掛けているキリンでは、グループ全体で14000台ほどのPCを利用しているが、PCの老朽化や異なる環境での利用などによって業務に支障が出る場面もあった。PCの持ち出しは基本的に許可しているものの、料理店など客先訪問時に飲酒する場合は持ち出しNGで、PCを保管するために一度会社に戻らざるを得ない場面もあった。

 そこで、異なる環境でもアプリケーションが利用でき、情報漏えいを防ぐためにアプリケーション仮想化ツール「XenApp」を導入。異なる端末での運用はもちろん、営業が安心してノートPCが持ちだせるようになり、生産性向上に大きく貢献した。

長距離移動のスーパーバイザーも快適な環境を:ファミリーマート

 コンビニエンスストアを運営するファミリーマートでは、担当している店舗間の移動が長いスーパーバイザーの業務効率化を支援しワークスタイル変革を実現するため、デスクトップおよびアプリケーション仮想化ソリューションを導入した。

 データ分析や会計帳票、店舗スタッフ向けのマニュアルなどの店舗向けシステムを中心に、勤怠管理や人事考課といった数種類の業務システムの一部にはIE8しか対応していないケースもあるが、アプリケーション仮想化によってiPadでも利用できる環境を整備、資料の準備や社内システムへアクセスするためにオフィスへ戻る手間を軽減し、業務効率の向上を実現した。

安全性と利便性の両立を可能に:九州通信ネットワーク

 九州エリアの高度情報化に貢献する九州通信ネットワークでは、法人営業やコンシューマ向け回線販売など外勤の社員が社内LANにアクセスする際には、セキュリティ面を考慮した上で3回の認証を経なければならず、ユーザビリティの面で現場から不満があった。

 古い業務システムが新たな環境に対応できない面もあり、新たなワークスタイルへの変革を実現するため仮想化ソリューション「VMware Horizon View」「VMware ThinApp」を導入。iPadやAndroidなどのタブレット端末から1回の認証で社内リソースにアクセスできるようになったばかりか、既存業務システムも利用可能な環境を整備することに成功している。

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