笑顔じゃないと「出禁」になる? クラウド型勤怠管理ツールの選び方:IT導入完全ガイド(2/4 ページ)
多様な労働形態に対応し、勤務状況をリアルタイムに把握する勤怠管理ツールも種類が豊富だ。導入済みの勤怠管理ツールを更新するかリプレースするか、はたまた新規導入か使い分けか。ツールの選定ポイントを紹介する。
SaaSへのリプレース、または新規導入の場合
各種のクラウドサービスが普及する中で、データの外部流出や可用性への不安は徐々に解消されてきており、勤怠管理のクラウドへの移行が特に問題視されることはないと思われる。モバイルデバイスからの打刻も受け付ける場合には社内オンプレミスシステムよりも合理的な場合も少なくない。そこで、勤怠管理システムそのものをSaaSに移行する、新事業所なら最初からSaaSを導入することを一度は検討すべきだ。
初期コストが低く導入しやすいことが大きなポイント
SaaSなら、当然ながら導入や移行の初期コストはオンプレミス構築に比較して圧倒的に低い。また多くのサービスではオンプレミス構築用ツールに比較して機能を絞り込んでおり、その分だけ導入、設定、運用がシンプルになっている。
一面ではカスタマイズ性(設定の柔軟性)を低下させているかもしれないが、導入へのハードルがそれだけ低くなり、非技術者である人事担当者でも設定や運用が難しくないところが、企業によっては好まれるだろう。
現在多くの勤怠管理用SaaSが続々と登場しており、創業間もない企業や小規模な事業所、モバイルワーカーが多い部署などを対象にして「導入しやすさ」「使いやすさ」をセールスポイントの1つとすることが多いようだ。
機能の絞り込みは利用料金にも反映されており、ID当たり月額200〜300円のサービスや、極端な場合には無料のサービス(ID数に制限がある場合もあり)も利用できる。従来のタイムカード運用を見直す時に、障壁となるのが勤怠管理ツールの導入コストだった。現在、この障壁はSaaSで解決できる可能性が高い。
しかしシンプルなだけではやがて管理面で問題が出てこないとは限らない。従来勤怠管理ツールを利用してきた企業では機能に不足を覚える場合もありそうだ。SaaSであってもオンプレミス構築ツールと遜色ない機能性やカスタマイズ性を備え、データベースを給与管理や人事管理サービスと共通にしてスムーズに連携可能にするものもある。サービスを選ぶ際には、機能性や柔軟性を見極め、自社に必要な機能がそろっているか、イメージしている理想的な勤怠管理が実現できるかに注意して選択することをお勧めする。
法令改正対応や機能拡張が追加コストなく即時に利用可能なSaaS
なお、SaaSの大きな利点に、運用中にベンダーによる機能拡張が盛んに行われることが期待できる点が挙げられる。オンプレミス構築システムのように3年に1度のシステム更改時に新機能を取り込むというような形ではなく、機能がリリースされ次第、バージョンアップ費用などの特別な追加コストなく利用できるのは大きなアドバンテージ。法令の改正などが今後も頻繁に行われることが予想されるため、ツールの機能拡張に従っていれば最新法令に違反せずに済む可能性が高いところに注目したい。
導入に際して必ず問題になるのは、オンプレミス構築とSaaSとのトータルコストだ。利用人数が多くなればなるほど、オンプレミス構築システムの方がコスト効果が高くなる。SaaSは多少のボリュームディスカウントはあるにしてもほぼ単純にコストが人数分積み上がっていき、利用年数が長期にわたっても同様のコストが常にかかる。従業員が多い場合にはやはりオンプレミス構築の方がリーズナブルであるといえる。
逆に100人規模程度であれば初期投資ゼロ、ID当たり月額300円で考えれば3年で108万円。これはオンプレミス構築と比較して決して高額とはいえない。さらに言えば、数人程度の店舗や事業場には、タイムレコーダーよりもPCやスマートフォンを利用するSaaSの方が使いやすい。集計作業のための教育や労力を考えると、ごく少人数の場合にもSaaSは向く。場合によっては利用料金が全くかからないこともあるので、まずは導入検討してみることをお勧めする。ほとんどのSaaSで体験版は無料で試用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.