ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)の利点とは?:KeyConductors(2/3 ページ)
SDSを分かりにくくしている理由の1つは、製品によって特性や用途が異なっている点だ。ITインフラの運用管理へのアプローチに注目するとスッキリする。
既存ストレージアレイ製品を置き換える「FreeStor」
前置きが長くなったが、2016年4月21日、SDS製品を展開するファルコンストアが日本市場向けに新製品発表と事業戦略発表を行った。同社は、主力SDS製品「FreeStor」と、FreeStorの機能を使いやすくパッケージ化した、中小企業向けのデータ保護製品「Continuous Data Protector(CDP)」、重複排除機能を持つバックアップ製品「Optimized Backup & Deduplication(OBD)」を展開している。
FreeStorは、バックエンドストレージに多数のストレージベンダー製品を利用できる点が特徴の1つ。EMCやNetApp、デルやヒューレット・パッカード・エンタープライズといった老舗のストレージベンダーだけでなく、PureStorageやViolin Memoryといったオールフラッシュアレイ(AFA)を含む新興のストレージベンダーにも対応している。
前述したさまざまなSDS製品のうち、どちらかというと、既存の物理的なストレージ装置を抽象化して管理することを軸にする製品と理解することができる。
FreeStorの機能アップデートでは、連携プロダクトの拡大と運用管理機能の利便性向上が図られている。
まず、オープンソースのIaaS(Infrastructure as a Service)構築基盤ソフトウェア「OpenStack」の最新版である「Mリリース(Mitaka)」で、ブロックストレージコンポーネント「Cinder」に正式なドライバーを提供する。OpenStackは、インターネットサービス事業者や大手自動車メーカーなどでも採用される、大規模なプライベートクラウド運用のための基盤だ。接続ドライバが標準で提供されるようになったことから、OpenStackベースのクラウドインフラ運用管理を行っている事業者にとっても選択しやすくなる。
加えて、インメモリデータベース製品「SAP HANA」の認定も獲得している。ファルコンストアジャパンでは、バックエンドストレージにあるAFAをディスクキャッシュとして利用できるため、パフォーマンス向上に寄与するとしている。
同社では、既にOracle Database向けのストレージとしての実績も持っており、今回、新たに2つの機能を追加したことで、データサービスの提供範囲を拡大した形だ。
この他、運用管理面では、「予測分析機能」を追加している。以前より、管理画面では性能やデータ量推移を確認できたが、新たに将来的なリソース追加調達の計画立案を支援する予測情報を提示できるようになった。
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