Office 365のメールとスケジュールで相関分析、MSの働き方改革(3/3 ページ)
会議中に送っていたメールがバレる。「Office 365」のメールの使用時間とスケジューラーに設定されている予定の相関を分析してAIが働き方をレコメンドすると企業はどうなる?
日本マイクロソフトでのユースケースは?
「日本マイクロソフトでも働き方改革のためにMyAnalyticsとDelveを活用しています」と、実績をもとにユースケースを紹介したのはOfficeマーケティング本部の富士野光則氏。以下に内容を簡単に記す。
定例会議の無駄の見直し
MyAnalyticsにより、会議時間が1週間で28.5時間に及ぶことが判明、しかも特定の定例会議では内職も多いことに気付いた。自分以外のメンバーの内職もあることも分かり、定例会議の在り方の見直しを上司に提言したところ、会議のアジェンダと目的の見直しとSNSでの議事録共有が実現し、会議数が削減。その分、アイデアを練る時間が創出できた。
メール以外の方法によりコミュニケーションが円滑化
メール送受信に1週間で12.3時間も費やしていながら、送ったメールの15%は開封されていないことが判明した。そこでコミュニケーション内容に応じて、対面会議、Web会議、SNSなどを使い分けたところ、インタラクティブなやりとりが活性化するとともに、相互理解が深まり、会議の質も高度化した。
他部門を含むコラボレーションが充実
他部門のメンバーとの共同作業は50%以上あるものの、実際は毎回同じような人とのやりとりであることに気付いた。そこで海外のメンバー、社外パートナーの人とも積極的にコミュニケーションをとるように意識したところ、最先端情報を定期的に入手できるようになり、企画の新規性、クオリティーが格段に向上した。Delveにより、自分で気付かなかったメンバーに気付くこともできた。
富士野氏は、ユーザーであるFacebookのCIOやエーザイの部長などから高く評価されていることを紹介した上、「個人ダッシュボードを利用したユーザーはメールと会議に費やす時間を週に2時間削減できた」という統計データを示した。これはユーザーが1000人であれば、1カ月あたり8000時間の節約、従業員50人の増員、毎月の営業日の1日増に相当するという。働き方の見直し効果は直接コストや利益に結び付く可能性があるというわけだ。
Office 365のAI活用機能のロードマップ
以上のように、Office 365に搭載されたMyAnalyticsはユーザー個人が利用することを前提としたツールであり、これは2015年12月から提供されている。この機能をチーム単位の分析に拡張した新バージョンが開発中で、2017年の春ごろアップデートする予定とのことだ。さらに夏ごろには「Workplace Analytics」と呼ばれる、社内の別システム(CRMや人事システムなど)と連係可能なツールを提供することも予定している(図7)。
岡部氏は「こうしたツールを当社内でも活用し、その情報は積極的に公開していく」という。「マイクロソフト自身も働き方改革を推進しており、3年前からの人事制度変革では部門の壁を超えたコミュニケーションも人事評価の対象にしている。上司と部下は毎週1対1の面談で働き方やワークライフバランスなどについて相談するのが決まりとなっているが、この時、働き方に関わるデータが可視化されていると役に立つ。大きな課題はいかにインパクトある仕事ができるかだ。それには新しい取り組みによるイノベーションが必要。これには新しいアイデアのための時間をつくるという観点が重要になる。自分自身とチーム、ひいては会社に気付きを与えるツールはこれに大いに貢献する」と語った。
Office 365ユーザーは多いが、MyAnalyticsやDelveを十分に活用しているケースはまだ少ないという。働き方改革の推進が不可欠となった今、確かに役立つ機能に違いない。
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