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セルフサービスBIを使いこなす、社員1100人以上に普及させた導入術とは?(3/3 ページ)

セルフサービスBIを使いこなす従業員が1100人もいるNTTデータ。ユーザー部門が主体となってダッシュボード制作やデータ分析やできるといわれるセルフサービスBI、そこで情シスが持つべき役割は何だったのだろうか?

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(4)セルフサービスBIの普及を加速する方法は何か

フェーズ4 組織への展開・浸透、継続的改善

 基盤が構築できたら組織への展開・浸透のフェーズとなる。これについては「スタッフ部門と連携」する施策と、「付加価値の高い情報を提供」する施策を進めたという。

 スタッフ部門との連携施策の1つは、財務情報やKPI達成状況などの全社的にニーズがあるコンテンツをダッシュボード化して全社の運用の中で活用することだ。これにより、Tableauに興味がなかった組織も目にする機会ができ、興味を持つ人を増やすことができる。また、「業務に精通しているスタッフ部門がTableauを覚えると鬼に金棒で、該当業務で『これが欲しかった』といわれるような有益なダッシュボードが次々と作成され、全社展開されるようになった」(黒木氏)

 またアナリティクスを活用して将来予想や問題化予兆といった、経営課題の解決に資する付加価値の高い情報を生成し、結果をダッシュボードに反映する施策も行った。これは他では参照できない貴重な情報であり、その高い価値が導入促進につながった。これが「キラーコンテンツの1つ」になったという(図5)。

図5 付加価値の高い情報生成とダッシュボードへの反映
図5 付加価値の高い情報生成とダッシュボードへの反映

(5)Tableau有識者をどう育てるか

 最後は、Tableau有識者をどう育成するかである。基礎スキルの修得には、主にeラーニングの「Udemy」を利用した。その他には単行本やブログの「Tableau Padawan’s Tips&Tricks」を使ったという。

 しかし暗黙知である応用ノウハウを知るにはそれらだけでは足りず、「SECIモデル」を応用したという。これは有識者の暗黙知(※)を表出化して学習者に引き継ぐための方法だ。図6のように、学習者と有識者に同じテーマと同じデータを与え、出てきた答え(成果物)とかかった時間や考え方、操作方法、デザインなどの差分を確認すると、暗黙知が表出化する。それをドキュメント化して共有し、さらに知識定着のための「内面化」を行う。こうした作業を繰り返すことで、応用的なノウハウが習得でき、有識者の育成が可能になるという。

図6 暗黙知を表出化して引き継ぐためのSECIモデル
図6 暗黙知を表出化して引き継ぐためのSECIモデル ※暗黙知:経験や勘に基づく知識、言葉に表現されていないが知識として蓄積されているもの

 以上の4フェーズでの導入・展開を進めた結果、現在のようにデータ活用が社内に普及してきた。海外拠点からの引き合いも多いといい、今後は国内・海外のグループ会社にTableauを展開していく予定だ。

 「Tableau社はTableau Driveの中で、『セルフサービスBIは終わりのない旅』というメッセージを発信しています。分析対象や教育するメンバーは増え、マスターする主題領域も広がっていきますが、その旅を続ける中で分析を行う企業文化は確実に強化され、全てメンバーにとって、より健全で魅力のある職場が作られていく……といっています。当社でも、Tableauを社内に展開することで各職場がより魅力的になるよう進めていくとともに、そこで得られた成功/失敗事例をNTCCに還元し、そのノウハウがお客さまのTableau導入の中で活用され、お客さまの事業発展に寄与できればこれ以上ない幸せです」と黒木氏は語った。

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