脱Excelに効く「業務アプリ開発プラットフォーム」:IT導入完全ガイド(3/4 ページ)
Excel作業は何がダメなのか? Excel方眼紙や集計、分析、進捗管理などでExcelを活用すると何が問題なのか。業務アプリ開発プラットフォームによる脱Excelの方法を紹介する。
データベース知識が不要なデータベース
このツールを利用すれば、見た目がこれまでのExcelに類似していても、入力して出来上がるのはデータベースとなる。一般的なデータベースだと設計に専門知識が要るが、このツールに必要なのは、ユーザーや組織と利用権限をきちんと登録・設定することくらいだ。事前のテーブル定義もいらず、排他制御や例外処理など面倒なことは考えなくて良い。ツールの側で矛盾なくデータを整理してくれる。
また、基幹系システムや他の業務システムのデータもインポートが可能だ。CSV形式ファイルの読み込みか、直接連携をすることで、既存の組織、ユーザーデータや顧客データ、商品データなどをマスターデータとして利用できる。
ツールによって違うが、四則演算やExcelの関数同等の機能が使え、ツール機能では足りないところがあれば、スクリプトを書いて(これにはスキルが必要だが)組み込むこともできる。またツールベンダーがさまざまな業務にそのまま使えるテンプレート(サンプル)を提供しているので、それを一部改変して利用することもできる。テンプレートを利用して簡単なプロトタイプアプリを作るだけなら、慣れれば数分しかかからないだろう。
一方で、ツール導入によりデータベースを新たに作成するのではなく、Excelを利用したまま、モバイルでも利用したいといったニーズにこたえるツールもある。下図はMicrosoftの「PowerApps」の例だが、Excelファイルを選ぶだけでモバイルアプリのプロトタイプが出来上がる。後はそれに修正や追加を加えていけば、Excelでの業務をモバイルやWebでそのまま利用できるというわけだ。
ただし、業務アプリ開発プラットフォームも工夫に工夫を凝らすとメンテナンス性は落ちる。Excelと同じ轍を踏まないように、シンプルさを心掛けるか、後に仕組みが分かりにくくなりそうならドキュメントを作成し、ツールに備わるコンテンツとのリンク機能や高速な情報検索機能などを使って参照できるようにすると良いだろう。またチャット機能があるツールなら、たとえ部署が異なってもコミュニケーションが簡単なので、そもそもの作成者に気軽に質問できるかもしれない。
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