社内コミュニケーションツールの利用状況(2018年)/前編
キーマンズネット会員295人を対象にアンケート調査を実施した。利用状況や導入範囲など社内コミュニケーションツールの利用実態が明らかになった。
キーマンズネットは2018年6月26日〜7月27日にわたり、「社内コミュニケーションツールの利用状況に関する調査」を実施した。社内コミュニケーションツールの「利用状況」や「具体的な利用ツール」「導入範囲」「満足度」など、企業における社内コミュニケーションツールの利用状況を把握するための質問を展開した。
利用中または利用予定の社内コミュニケーションツールでは「Skype」が50.8%と過半数を占めていることや、部署やプロジェクト単位での導入ではなく「全社導入」が75.9%と大半であることなどが明らかになった。
大企業では約7割が利用も、中小企業では約半数が「利用予定なし」
社内コミュニケーションを活性化するだけではなく、業務報告やプロジェクト管理、従業員同士でのナレッジ共有などの手段としても利用される社内コミュニケーションツール。単なるコミュニケーション手段としてだけでなく業務の効率化や企業の生産性を高めるツールとしても認知が広まりつつある。
■記事内目次
- 大企業では約7割が利用も、中小企業では約半数が「利用予定なし」
- 利用率トップはSkype、最近よく聞くSlackやChatWorkは何位?
- 約7割が満足も「使い勝手」や「利用者が少ない」に不満の声
まず、ツールの利用状況について聞いたところ、社内SNSやビジネスチャットなど何かしらのコミュニケーションツールを利用している企業は53.3%、現在は利用していないが導入予定の企業は13.9%、現在は利用しておらず今後も導入予定がない企業が33.9%という結果となった(図1)。従業員規模別で見ると100人以下の中小企業においては49.1%と約半数の企業がまだ利用していない状況だ。一方で1001人以上の大企業では65.7%と7割近くの企業が利用しており、従業員数が多い企業ほど社内コミュニケーションの課題も増え、ツール利用に至るケースが多くなるようだ。
ツールの利用率で見ると「ビジネスチャットツール」25.8%、「社内SNS、ビジネスチャットツールの両方」14.6%、「社内SNS」11.9%となり、ビジネスチャットツールの利用率が高い。ビジネスチャットツールも社内SNSも利用の手軽さや複数人対して一度に伝達できる特長を持つが、前者は業務連絡や電話やメールといった従来型のリアルタイムコミュニケーションの代わりに利用される。後者はSNSという特性上、ナレッジの共有や従業員同士の軽いコミュニケーションなどに利用されることが多い。
利用率トップはSkype、最近よく聞くSlackやChatWorkは何位?
それでは具体的にどのようなツールを利用しているのだろうか。利用中または利用予定の社内コミュニケーションツールを尋ねたところ「Skype」が50.8%と過半数を占め、続いて「Microsoft Teams」16.9%、「Yammer」14.9%、「Line Works」7.7%、「Slack」6.7%、「ChatWork」5.6%となった(図2-1)。
インスタントメッセージやWeb会議、音声通話などのコミュニケーション機能を備える「Skype(Skype for Business)」はコミュニケーションツールの中でも歴史が長く、知名度もあってか利用率が高い。「Slack」は最近よく耳にするツールであるが、まだ世間的には開発者向けのイメージが強いためか全体の1割未満にとどまった。またその他の回答としては「Microsoft Lync」や「Googleハングアウト」「IBM Notes」などが挙がった。
社内コミュニケーションツールの導入範囲については「全社導入」が75.9%と大半を占め、次いで「部門ごとに導入」14.4%、「プロジェクトごとに導入」5.1%と続いた(図2-2)。ただ、全社で導入しても、実態は部門単位やプロジェクト単位に分けて利用するケースがほとんどだろうと予測される。
約7割が満足も「使い勝手」や「利用者が少ない」に不満の声
最後に利用中の社内コミュニケーションツールについての満足度を聞いた。その結果「満足」が6.7%、「まあ満足」が61.0%、「やや不満」が25.6%、「不満」が6.7%となり、まとめると全体では「満足」が67.7%、「不満」が32.3%となった(図3)。
約7割が「満足」と回答する一方で、「不満」と回答した方はどのような点に不満を持っているのだろうか。フリーコメントを見ると大きく2つの不満が浮かび上がってきた。
1つ目は「音声通話のときなど、品質面で安定していない」「画面が分かりづらい」「機能が複雑で使いにくい」「ネットワーク環境に依存する」などの声に見られる“使い勝手”に対する不満だ。社内コミュニケーションツールは使い勝手や操作性が従業員の利用率にもつながるため、重要なポイントとなる。Web会議や音声通話などの機能はネットワーク環境によっては利用者の満足度にも影響が出やすいため、必要性がなければチャットで代替するなど、従業員が快適な環境で利用するための工夫も必要となるだろう。
2つ目は「従業員への浸透度が低く、積極的に活用されていない」「積極的な利用者が少ないため、ツールとしての価値がない」といった声に見られる“ツールが浸透していない”ことによる不満だ。せっかくツールを導入しても、社内に浸透せず一部の従業員でしか利用されていないケースもある。また、導入目的が曖昧だと、利用シーンや利用方法もばらばらになり本来の導入目的を果たせない。効果的な利用につなげるためにも、利用目的や利用ルールを定期的に見直し、利用者の視点に立った運用も重要なポイントとなりそうだ。
全回答者数295人のうち情報システム部門が45.1%、製造・生産部門が12.5%、営業・販売・営業企画部門が10.9%、経営者・経営企画部門が4.8%などと続く内訳だった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 社内情報共有ツールの利用状況(2019)/前編
キーマンズネット会員303人を対象に社内情報共有ツールの利用状況を調査した。2018年の同調査と比べて、Microsoft Teamsの利用率が上がるなどの変化が見られた。 - 社内情報共有ツールの利用状況(2019)/後編
キーマンズネット会員303人を対象に社内情報共有ツールの利用状況を調査した。後編では、導入企業が感じる社内情報共有ツールの効果や不満を掘り下げた。導入することで、ツールが乱立して混乱を招く、という意見もあり……? - 社内コミュニケーションツールの利用状況(2018年)/前編
キーマンズネット会員295人を対象にアンケート調査を実施した。利用状況や導入範囲など社内コミュニケーションツールの利用実態が明らかになった。 - 社内コミュニケーションツールの利用状況(2018年)/後編
キーマンズネット会員295人を対象にアンケート調査を実施した。社内コミュニケーションツールの導入目的、効果や不満が明らかになった。