労働力不足を解消し、業務効率化に寄与すると注目されるRPA(ソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化)。アイ・ティ・アールの調査によれば、2017年度のRPA市場の売上額は前年度比4.4倍の35億円だった。2018年度も同2.5倍と高い成長が見込まれる。
同社では、2017年度から2022年度までの5年間の年間平均成長率(CAGR)を62.8%と予測し、2022年度の市場規模は400億円に達する。同社シニア・アナリストの舘野真人氏は「2017年度は一部の業種で先行していたRPAツール導入の動きが、他業種へも広がった年」と指摘し、「2018年度は、試行段階にある企業での本格稼働が進むことから、市場は大きく拡大する」とコメントする。
RPAは、手作業によるデータ入力業務でOCRとの連携が進む。OCRは、AI活用による認識精度やデータの自動抽出機能が向上し、従来限定的だった企業での導入が見直されている。RPA導入を機に業務システム全体の見直しを検討する企業も増加し、BPM(ビジネスプロセス管理)や(ビジネスルール管理)の導入を検討する企業も出始めている。
今後、RPA市場は参入するベンダー間の競争激化が予想できる。その結果、製品単価の低下や一部の先進ユーザー企業のリプレースが見込まれる。舘野氏は「今後、大規模稼働に対応したロボットの管理、ガバナンス機能を持つ製品の需要が高まる」と分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- RPA導入に関する意識調査(2018年)/前編
キーマンズネット会員230人を対象にアンケート調査を実施した。認知度や導入企業における満足度などRPAの利用実態が明らかになった。 - RPA導入に関する意識調査(2018年)/後編
キーマンズネット会員230人を対象にアンケート調査を実施した。導入を想定する時期や期待する機能などRPAの利用実態が明らかになった。 - 導入しただけで満足していない? RPAで得るべき本当のメリット
RPAを導入したのに効果が出ない――ある企業が800%の投資対効果を達成する一方で、ある企業はこのような悩みを抱えています。その明暗を分けるものとは何か、企業はRPAで何を目指せばよいのか、事例を交えて紹介します。 - RPAが放置される……GMOクリック証券、ロボット内製化への逆転劇
現場でRPAの活用が進まない――RPA導入に課題を抱えたGMOクリック証券は、ある施策によってRPA化をしぶる従業員の心をつかんだ。 - 壁だらけのロボット展開、RPAに求めるべき品質ってなに? 前編
企業の高品質なRPA運用を支援するコンサルタントが、本当にあったRPAの事故の原因に切り込み、トラブルのない"優等生ロボット”をどのように実現するのかを解説する。