業務自動化の切り札「プロセスマイニング(Process Mining)」とは何か:プロセスマイニング入門〜マニュアルのない業務の真実を「発見」する技術(1)(3/4 ページ)
生産性向上の切り札、業務標準化。標準化は将来的な自動化の第一歩でもあるが、多くの企業が失敗を経験する。その理由は「業務の真実」を発見できないことにある。いま、この課題を解決する手法として「プロセスマイニング」に注目が集まっている。本稿ではまず概要を見ていく。
プロセスマイニングとデータマイニングやBPM(Business Process Management)との関係は
プロセスマイニングと聞いたとき、データマイニングやBPM(Business Process Management)との違いが分かりにくいかもしれない。
Q. それはデータマイニングで代用できませんか? →Ans. プロセス分析に特化したイベントデータ分析が必要です
プロセスマイニングは「データマイニング」の一部といわれることもある。
だが、データマイニングではプロセスを逐次記録したイベントデータを分析することはほとんどない(ので、データマイニングツールはこうした分析を得意とはしない)。一方、プロセスマイニングツールはデータマイニングでよく使われる分析手法である「決定木分析」や「クラスタ分析」などの手法は組み込まれていない。プロセスマイニングとデータマイニングは基本的には異なるアプローチといえる。
ただしプロセスマイニングでデータを深掘りする場合には決定木分析やクラスター分析を活用したデータマイニングを行う場合がある。また、AI(人工知能)、機械学習、特にディープラーニングは、プロセスマイニングにおいては「予測分析」において採用されることも増えている。
Q. それはBPMとどう違うのですか? →Ans. 事実を基にしたas is processを導き出し、BPMを自動化できます
BPM(Business Process Management)では、業務プロセスを分析し、設計(モデリング)し、実行、監視し、改善するというPDCAをBPMツールの支援を受けて行うことが一般的だ。
プロセスマイニングは、現状の業務プロセス(as is process)を可視化=プロセスを発見するのでBPMを支援する側面を持つ。
例えばプロセス設計を行う時、プロセスマイニングツールであれば、現状で優れたプロセスを発見できた場合に理想プロセス(to be process)として「BPMNモデル」を出力する機能がある。
これをBPMだけで運用する場合、現場ヒアリングや観察などに基づく業務プロセス分析を行い、理想プロセスの設計も基本的には手作業だ。プロセスマイニングツールを援用すれば、事実に基づく分析を自動で行えるようになる。
この他、プロセス実行および監視の段階では、理想プロセスから逸脱した手順が行われた場合、リアルタイムでアラートを出す機能を備えるプロセスマイニングツールもあり、BPMの運用を支援できる。さらにBPMにおける「改善」に対しても、プロセスマイニングはイベントデータに基づく客観的で厳密な効果検証を行う部分を補完する。
以上をまとめると、プロセスマイニングは、データの深掘り分析のためにデータマイニングのテクニックも活用しつつ、BPMに対して優れた分析および監視環境を提供する関係にあるといえるだろう。
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