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BIツールの導入状況(2019年)/前編(2/2 ページ)

様々な経営指標を一意に可視化できるBIツール。定例の業務進捗報告などの無駄を解消するツールとして注目を集めたこともあるが、普及の状況はどうなっているだろう。調査ではいっこうに業務が楽にならない現場リーダーの苦悩が垣間見られる状況が明らかになった。

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中小企業の課長の仕事は変わるか? 業務改善の兆し探る

 日々の業務進捗(しんちょく)や経営情報の可視化などに使われるBI(Business Intelligence)ツールが市場に出て久しいが、実際にはどのくらいの企業に利用されているだろうか。特に「業務の半分以上がレポート作成」という回答が多かったことから、時間外労働の上限規制に対応するためにも業務効率向上を目指して生産性の高いツールを導入しようと考える企業は増えているのではないだろうか。そこで、アンケートでは、レポート作成業務を効率化するBIツールの導入状況を聞いた。

図2 BIツールの導入状況
図2 BIツールの導入状況

 全体では「導入しており、リプレースの予定はない」が34.0%、「導入しており、リプレースの予定がある」が8.7%、「導入していないが、今後導入予定がある」が14.6%、「導入しておらず、今後も導入する予定はない」が42.7%となった。

 ただし、今回の調査結果からは、従業員数1001人以上の企業では「導入済み」が56.7%と過半数を占めた半面、従業員数101〜1000人の企業では39.0%、100人以下の中小企業に至っては14.7%と大きな開きがあることが明らかになった。

 現状が明らかになったところで、今後の導入意向はどうだろうか。

 リプレースと合わせて何らかのBI製品を新たに導入する予定があるかを尋ねたところ、従業員数500人以下の中堅・中小企業はいずれも「今後導入する予定はない」とする回答の割合が「導入済み」「導入予定あり」とする回答数を上回る結果になった。この結果から、多くの企業でBIツールを使わず集計業務を行い続ける方針であることが分かった。「課長職」には少しつらい結果といえるだろう。

BIツール利用目的は「経営指標の可視化」「予実管理」「財務経理業務」

 他方、BIツール導入済み企業は、どのような部門や業務にツールを利用しているのだろうか。アンケートではその目的を聞いた。

 「その他(財務経理などを除く)経営指標の管理」51.7%、「予算管理」46.6%、「財務経理業務」41.5%、「販売管理」39.8%、「営業進捗管理」39.0%と続く結果となった(図3)。

図3 BIツールを利用する業務
図3 BIツールを利用する業務

 財務経理情報の可視化が中心かと想定していたが、むしろそれ以外の経営指標の割合が高い結果となった。数値情報として追いかけやすい財務情報ではなく、周辺システムが持つ情報の把握を目的に導入する企業が多いことが結果に反映された可能性がある。

 昨今では営業部門や製造部門などの担当者が自部門でツールを使えるようになってきており、それぞれの職務に合わせた分析やレポート作成、対策の実施が可能になってきている。そのため「販売管理」や「納期管理」「購買管理」など、今回の調査では下位に挙がった業務においても今後はツール利用が進むものと予測できる。

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