「O-RAN Alliance」とは? 5Gインフラをインテリジェントにする最新規格を解説(1/3 ページ)
5G通信のサービス開始が迫る中、ネットワーク事業者と関連機器ベンダーによる5Gインフラの標準化が急ピッチで進む。今回は、無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化とインテリジェント化を推進するO-RAN Allianceの活動の一端を紹介する。
O-RAN Allianceの誕生とこれまで
「O-RAN Alliance」(Open Radio Access Network Alliance)は、AT&T、中国移動、Deutsche Telekom(ドイツテレコム)、NTTドコモ、Orange(旧フランステレコム)の各社合意によって2018年2月に発足した業界団体だ。
もともと同アライアンスは、日本企業や米国系の企業を中心とした「xRAN Forum」と、中国系企業を中心とした「C-RAN Alliance」の統合を目的の1つとしていた。しかし、その後、Verizon Wireless、KDDI、ソフトバンクなどのネットワークオペレーター各社(オペレーターメンバー)、Cisco Systems、Ericsson、Intel、富士通、NEC、Lenovo、Samsung、Red Hat、NOKIA、Qualcomm Technologiesその他のコントリビューターが参加した。本稿執筆時点(2019年7月12日)で21社のオペレーターメンバーと81社のコントリビューターメンバーが加盟する、グローバルかつ大規模な業界団体に成長している。
目次
- O-RAN Allianceの誕生とこれまで
- ネットワークのインテリジェント化とは
- 5G時代にC-RANでは解決できない2つの課題とオープンインタフェース仕様とは
- 無線基地局の構成機器のマルチベンダー化を進める「O-RANフロントホール」仕様
- フロントホール部分におけるボトルネックを回避するための策も包含
- 基地局内・基地局間のインタフェースも共通化、マルチベンダー相互接続と性能の向上を目指す
- ハードウェアとソフトウェアのレファレンスデザイン作成
現在、O-RAN Allianceが活動の大きな目的として掲げているのは「5G時代の通信サービスに必要なネットワークのインテリジェント化を図ること」「機器開発のベースとなるオープンインタフェース仕様を策定すること」そして「ハードウェアとソフトウェアの参照モデル(レファレンスデザイン)を策定すること」の3つだ。これらの目的に沿って8つのワーキンググループ(WG)が設けられ、それぞれオペレーター2社とコントリビューター1〜2社から選出される3〜4人が共同議長となっている。
ネットワークのインテリジェント化とは
5G時代には多様なアプリケーションが多数利用されることが見込まれるため、エンドツーエンドのサービス品質(QoE、QoS)がこれまで以上に厳しく求められる。そのため、そもそも限られた電波の帯域をニーズに対してどう効果的に割り振れるかが極めて重要だ。通信の最適化は現在のところネットワーク保守担当者に頼る部分が多いが、この作業を自動化してさらに高い効率を目指すのが「インテリジェント化」である。同アライアンスのWG2、WG3は、このための議論が進められている。
自動制御にはネットワーク保守システムに集約される通信関連ビッグデータの機械学習とAIを活用する手法が検討されている。また、無線リソースの適正な配分には、リソース割り当てのスケジューリングや多数のアンテナのビーム制御(マッシブMIMO、ビームフォーミング)などの高度なアルゴリズムが必要になるが、その最適化のためにビッグデータをもとにした学習を利用して、ニーズに応じたリソース配分の最適解をレコメンドすることが可能と考えられている。
現在のところ、無線アクセスネットワークの最適化ユースケースに関するドキュメントが公開間近になっており、年内にも最初の仕様が固まる見込みになっている。
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