RPAで年間407時間の削減効果を見込む、富山県南砺市の業務選定基準とは
富山県南砺市は、RPAを活用して業務改革を推進している。4つの業務を自動化し、年間407時間の削減効果を見込む。導入したのは「UiPath」だ。
富山県の南西部に位置する南砺市は、RPAを活用して業務改革を推進している。2004年に8つの町村による合併で誕生した同市は、2020年7月までに4つの分庁舎を1カ所に統合することが決まっている。RPA導入プロジェクトは、市民サービスレベルを維持したまま市庁舎統合を実現するために、職員の定型業務にかかる時間を減らすことを目的として2018年12月に始まった。
導入したのは「UiPath」だ。約3カ月で対象業務の選定とRPAの開発を終え、2019年4月から4つの対象業務で本格的に稼働させた。導入2カ月後の検証で年間407時間の削減効果を見込んだ。特に税金収納消込業務は、年間業務時間154時間が18.4時間に削減され、削減率は88%と試算する。人為的な操作ミスなどのリスク低減が期待され、心理的な効果も大きいという。
対象業務の洗い出しにおいては、30程度の業務の自動化が検討された。同市は短期的に効果を検証するために、年次業務より日次または月次で発生する業務を選定した。また投資効果(ROI、削減時間数)で業務を分類して優先順位を決めた。さらにRPAシナリオの構築難度が低い業務を優先した。「手順に一貫性がある」「職員の経験に基づく判断がない」といった要素が挙げられる。
RPAの導入により「毎日繰り返される業務を削減することで休暇を取得しやすくなる」「3年周期で行われる人事異動時に業務引継ぎの負担が減る」といった働き方改革の面での効果も期待されている。同市はBPRを推進し、自動化対象業務領域のさらなる拡大も検討する。
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