病院でもRPA活用が始まる、新たな医療の質と安全の向上を目指す
RPAの導入が医療機関で始まった。東京歯科大学市川総合病院は、医療の質と安全の向上を目指して2019年7月にRPAの運用を開始した。導入したのは「BizRobo!」だ。
東京歯科大学市川総合病院は、RPAツール「BizRobo!」を医療従事者向けロボットとして2019年7月から稼働させている。企業の業務効率化や生産性向上を目的として導入されることが多いRPAだが、同院が目指すのは「医療の質と安全の向上」だ。
運用を始めたのは「CTとMRI画像診断における医師の未読患者リストを抽出し、レポートを印刷するロボット」だ。また「血液検査の結果、eGFR値(腎機能の検査指標の1つ)が基準値以下で翌日以降の検査予定の患者リストを抽出するロボット」の試験運用を10月から始める。
市川総合病院は、2018年6月から院内におけるRPA導入の検討を開始した。トライアルとして電子カルテシステム、医事会計システム、画像診断システムなど診療ネットワークにつながる15種類のシステムとBizRobo!との疎通確認を実施した。
今後、医師などの診療部門、看護部門、コメディカル部門(医師や看護師以外の医療従事者)などと協力しながらRPA適用領域を広げる。事務職員の業務をRPAに任せることで医師事務補助の拡大し、医師の働き方改革に貢献することや、電子カルテと部門システム間のリアルタイム性を重視しない接続でのRPA活用、RPAとAIの融合による効率化を実現することを目指すという。
同院の松井淳一副学長(外科部長)は、「人力では継続することがなかなか実現できなかった領域に踏み込むことで、新たな医療の質と安全の向上に寄与できるものと期待しています」とコメントする。
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