データ分析は優先事項ではない? 日本企業のホンネ
データは企業の資産であり、その活用や企業の成長を左右するといわれるが、意外にも企業によってはデータ分析の価値がそれほど認識されていないようだ。一体なぜか。
データ経営時代の今、データをいかに活用するかということが企業の未来を左右するといわれている。しかし、日本企業においてデータ活用や分析の重要性が認識されているとは言い難いことが明らかになった。
Alteryxは2019年11月19日、本企業のIT責任者や意思決定者511人を対象にした「データ分析に関する調査」の結果を発表した。同調査は企業のデータ活用や分析の実態を調べることを目的に、2019年7月3日〜18日まで実施されたものである。
調査では、事業を成功に導く最大の手段として「データと分析」を挙げた回答者の割合は21%にとどまり、日本の企業はデータ分析を優先事項として捉えていないことが明らかになった。
企業規模、業種でデータ分析の価値に対する認識に差が
企業規模別に主計すると、規模の小さい企業ほど、データ分析を重要視していないと分かる。具体的には、従業員数が500人以上の大企業に勤務する回答者の71%が「データ分析は生産性、成長、革新を加速させる」と回答したのに対して、従業員数が2〜9人の小規模企業に勤務する回答者における同様の回答は25%に満たなかった。
では、大企業の従業員はデータ分析の価値を認識しているのか。大企業に勤務する従業員の76%が「データは会社の核となるものであり、非常に重要な資産である」と回答し、64%が「データ分析から得た見識に基づいて決定している」と答えた。「データに対する知識は社内でのキャリアアップに非常に重要である」と認識している割合も74%に上っている。しかし、データ分析の価値を認識していることと、データをうまく活用できているかどうかは別の問題のようだ。実際に、大企業の従業員の50%が「データを利用する必要があるもののデータの質が低い」と回答している。
業種によっても、データ分析に対する認識と実施状況は大きく異なるという。
データ分析を比較的実施している傾向にある業種は製造業や物流業で、その31%が「分析を導入することで収益と収益性が増大した」と回答した。これに対して小売業や卸売業では、「データから価値を得ていない」と答えた割合が40%を占めた。
データ分析の前に立ちはだかる課題とは?
Alteryxは、データ分析にまつわる課題も調査項目としている。最も多く挙がった課題は「データ人材の不足」で、全体の12%が回答した。
同社は、「データ分析によって各部門が連携を取り合えている」と回答した割合が24%にとどまっていることを受けて、「データ人材の不足」が原因で全社的にデータを共有できていない状況が伺えると分析する。さらに業種別に知識の構築や共有を実施しているかどうかを調査した結果、「実施している」と回答した企業は小売業や卸売業で63%、サービス業で73%であったことから、一部の業界ではデータの共有が一般的ではないとも結論付けた。
なお、企業規模別でデータ分析の課題を見ると、大企業では21%が「データサイエンスに対する理解と分析能力が不十分である」ことを挙げた。
一方、データ分析を成功に導く要因としては、全体の14%が「データ分析の文化」、16%が「説明可能なAI」と回答した。この結果に合わせて、回答者の48%が「近い将来にデータスキルを磨きたいと思わない」と回答したこと、さらに大企業の39%が「機械学習と人工知能が優先事項である」と回答したことを鑑みて、Alteryxでは分析技術をうまく利用できるかどうかが企業の将来にとって非常に重要であり、専門知識を有していない従業員でもデータやAIを利用できるようにするべきだと指摘する。
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