IT投資は2019年度以降も増加基調、特に伸びるソフトウェアは?
矢野経済研究所が、2019年度の国内企業のIT投資実態と今後の動向に関する調査をまとめた。2018年度のIT市場規模を前年度比2.8%増の12兆4930億円と推計する。
経済産業省がまとめた「DXレポート」は、複雑になりブラックボックスとなったレガシーシステムを2025年までに刷新できない企業はデジタルトランスフォーメーションの波に乗れず、デジタル競争の敗者になると分析した。さらに2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性があるとして、これを「2025年の崖」と名付けた。
つまりシステム刷新を集中的に推進しなければならないわけだが、国内企業のIT投資はどのような状態にあるのだろうか。矢野経済研究所は2019年11月27日、2019年度の国内企業のIT投資実態と今後の動向に関する調査をまとめた。
同社は、2018年度のIT市場規模を前年度比2.8%増の12兆4930億円と推計する。2019年度は12兆9180億円(同3.4%増)、2020年度は13兆1240億円(同1.6%増)、2021年度は13兆3200億円(同1.5%)と増加基調を予測する。
今後3年間で急激にIT投資が伸びるソフトウェアとは?
2018年度はワークスタイル変革に関するIT投資が堅調だった他、企業の収益力が高まったことで大規模システム更改も目立ったという。特に2020年1月に「Windows 7」の延長サポートが終了することで「Windows 10」への移行が活発で、この流れは2019年度も継続すると見込む。
「今後3年間でIT投資が増加するソフトウェア」について、2019年調査では482社から回答を得た結果、「ERP(基幹業務統合管理)」が41.9%で8年ぶりにトップに並んだ(同率1位は「セキュリティ関連ソフトウェア」)。
矢野経済研究所は、「経営環境の変化にあわせて基幹システムを更新する動きが進んでいることや、ERPパッケージのクラウド化が進んでいること、SAPのERP保守サポート期限が2025年に迫っていることなどがある」と分析する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 企業の「Windows 10」導入状況と運用の課題(2019年)
大半の企業がWindows 10に移行を完了。だが不満も増加傾向にあるようだ。1年前と比較して企業のWindow 10利用状況の実態はどう変わっただろうか。 - PC調達の根本を変える「Device as a Service」リースとは何が違うのか?
2〜3年ほど前から大手ベンダーが提供し始めた「Device as a Service(DaaS)」。まだ誕生して間もないサービスで、ユーザー企業の理解も漠然(ばくぜん)とした状態だ。単に「PCの運用管理を丸投げできるサービス」と考えられているようだが、DaaSの本質的なメリットはそこではないという。 - SAPのクラウド移行先はどこに? Microsoft、AWS、Googleが支援を本格化
SAPユーザーのクラウド移行に主要プロバイダー3社がそろってシステム移行で協力する。2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」に取り上げられたことで注目を集める基幹業務システムの「2025年の崖」。渦中の古いSAP ERPユーザーも「崖」から救うか。 - どん底の町工場が手組みの基幹システムでV字回復、過去最高益を出せたワケ
従業員約30人で事業を支える今野製作所。リーマンショックの打撃で売り上げが激減、窮地に立たされた。業績回復に向け取り組んだのは特注品製造の強化。しかし、そのためには生産工程の合理化が必須だった。そこで、SIに頼らず自力で基幹システムの開発に乗り出した。 - AWS移行事例 バンダイナムコグループの基幹業務クラウド移行はこうして実現した
わずか2日でグループ10社の基幹系業務システムをクラウドに移行完了。バンダイナムコグループが実践した「リフトアンドシフト」。きっかけは保守切れ対応への疑問だった。