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Windows 10の標準機能だけでセキュアなWebブラウザを作る方法

Windows 10が標準で持つ仮想化機能を活用すれば、特別なツールを使わなくてもセキュアなWebブラウジング環境を用意できる。Chromium版Edgeの便利な使い方とセキュアブラウザの実現方法を解説する。

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 前回の記事ではChromium版EdgeのIEモードなどを見てきた。今回はその他に注目すべき機能も紹介していく。従来は他のツールを併用してきたような機能が標準で利用できるようになっており、仕事の効率アップが期待できる。

Chromium版Edgeの便利な機能「コレクション」

 Chromium版Edgeには個人で利用する場合の便利な機能として「コレクション」という機能が用意されている。コレクションは、Webサイトの写真やテキストやリンクを簡単にコピーして、保存したり、他のユーザーと共有したりできる機能だ。プライバシー機能(追跡防止)なども用意されている。2020年1月16日に提供が始まったChromium版EdgeのVer79.0.309.65にはコレクション機能は入っていない。Chromium版Edge Ver81.0.389.2のDevバージョンには搭載されているため、Chromium版Edgeの次のアップデートにはコレクション機能は搭載されてくるだろう。


hromium版EdgeのDev版(リリース版の次バージョン)では、コレクション機能がサポートされている

コレクションを使えば、画面上の写真やテキストを貼り付けていけば、情報をまとめて扱える

Win10の仮想化機能と組み合わせてセキュアなブラウジング環境を作るには?

 旧「Edge」には「Windows Defender Application Guard」(WDAG)という機能が用意されている(ちなみにMicrosoftでは、WDAGの機能を今後Office 365などにも拡張しようとしているようだ)。

 WDAGはWindows 10の仮想化機能を使ってまっさらな状態のWebブラウザを用意する仕組みだ。怪しいWebサイトなどにアクセスする場合などに使用する。アクセスを終了してWDAGベースのWebブラウザを終了すれば、再びブラウザが初期化される。この仕組みを使えば、例えばアクセス時にWebブラウザがウイルスに感染したとしても、Webブラウザを終了すれば初期化するため、ウイルス感染の影響を心配しなくてもよい。またWebブラウザを動作させる環境そのものを仮想化しているため、使用するWindows OS本体にウイルスなどが侵入するリスクを小さくできる。

 Chromium版EdgeでもこのWDAGの機能を利用できる。ただし、動作条件がある。

  • Chromium版EdgeでWDAGの機能を利用できる条件
  1. Windows 10 Pro/Enterpriseであること(Homeは対象外)
  2. CPUが仮想化機能をサポートしていること
  3. Windows 10の64ビット版を使用していること
  4. メインメモリが8GB以上、OSドライブに5GB以上の空き領域があること(SSDが望ましい)

 この条件に加えて、事前にOSの「機能追加」でWDAGを追加しておく必要がある。


WDAGは、仮想化機能を使ってEdgeを本番環境と切り離して、真っ新なWebブラウザ環境が用意できる。仮想化機能を使うため、WDAGベースのWebブラウザは、若干パフォーマンスが落ちる(MicrosoftのイベントIgnite 2019より) WDAGは当初、旧Edgeだけの機能だった。しかし、Microsoftは2019年5月からChromeやFirefoxでもWDAG機能を利用できるようにする「Windows Defender Application Guard Companion」をMicrosoft Storeで無償配布している

Microsoft StoreではChromeやFirefoxでWDAGを利用できるようにするWDAG Companionが用意されている このアプリを使えば、ChromeやFirefoxでもWDAGの機能が利用できる(Chromium版Edgeは、追加ソフトなしにWDAG機能が利用できる)。これ以外にも、PCに危害を及ぼす可能性があるWebページの閲覧やダウンロードに対して、警告の表示やブロックを行うWindows Defender SmartScren機能も対応している

Chrome拡張を取り込めるメリット

 Chromium版Edgeは、GoogleのWeb Storeで配布している拡張機能をそのまま利用できる。Microsoft StoreにもChromium版Edge向けの拡張機能が用意されているが、GoogleのWeb Storeからインストールしても問題ない。


GoogleのWeb Storeで配布している拡張機能がChromium版Edgeでも、そのまま利用できる(Microsoftのイベント「Ignite 2019」より)

 一方、Chromium版EdgeのVer79.0.309.65(1月16日版)では、なくなった機能もある。旧Edgeにあった「表示中のタブを保存して閉じる」や「保存したタブを戻す」「タブのプレビュー」などの機能はない。表示中のタブを旧Edgeで保存していた場合は、Chromium版Edgeへの移行時には[お気に入り]→[その他のお気に入り]→[Tab set aside]で同様の機能を呼び出せる。

 旧Edgeの「タブの保存、表示、タブのプレビュー」などの機能については、Chromium版Edgeで継続して提供されるかは今のところ不明だ。しかし、Microsoftとしては旧Edgeと同じ機能をChromium版Edgeでも提供しようとしているため、サポートされる可能性もある。

 Chromium版EdgeはWinodws 10とは異なるロードマップでアップデートする計画だ。Chromium版Edgeの開発は、オープンソースのChromiumと同じように「Canaryチャネル」で毎日ビルドが行われる。このCanaryチャネルのアップデートやバグを修正したものを週に1度「Devチャネル」として提供する。その後、6週間ごとにDevチャネルをまとめた「Betaチャネル」を提供する。

 Betaチャネルで問題なければ、Betaチャネル提供の数週間後に正式版(Stable)の「Chromium版Edgeのアップデート」として配布される。

 ちなみにChromium版Edge内部でアップデートの仕組みを持つため、Chromium版EdgeのアップデートはWindows Updateなどのサイクルに左右されない。セキュリティ関連で緊急のアップデートがあれば直ちに配布できる他、機能アップデートもタイムリーに配布できる。実際、2020年1月16日に配布を開始したVer79.0.309.65から、約1カ月後の2月20日にはVer80.0.361.56にアップデートされている。Chromium版Edge自体がアップデート機能を持つため、「Chrome」や「Firefox」などと同様、常に最新のWebブラウザに更新される点もセキュリティ面では安心できる要素だろう。


Chromium版Edgeは、Canary、Dev、Beta、Stable(安定版)に分かれる Betaが完成後、6週間でStableになり、配布が始まる

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