どうなる改正電子帳簿保存法への対応 システム対応済みは2割にも満たず、コスト以外の原因とは?
ラクスが実施した「電子帳簿保存法への対応状況に関する調査」で、電子帳簿保存法のシステム対応状況、改正内容の理解度、ペーパレスの実施状況などが明らかになった。
ラクスは2020年9月1日、経理や財務、会計部門に所属する会社員を対象に実施した「『電子帳簿保存法』への対応状況についての実態調査」(実施期間:2020年7月20日〜2020年7月22日)の調査結果を発表した。企業の電子帳簿保存法への理解度と対応状況において問題点が浮かび上がった。
電帳法へのシステム対応、対応済みは2割にも満たず
電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法などの特例に関する法律)は2020年4月に施行された税制改正に伴って見直しが進み、2020年10月1日に改正電子帳簿保存法が施行される予定だ。今回の改正では、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済といったキャッシュレスで決済された経費の領収書原本を保存する必要がなくなるなど、経理のペーパーレス化を推進する内容が盛り込まれた。
ラクスの調査によると、企業の電子帳簿保存法へのシステム対応はまだ道半ばのようだ。電子帳簿保存法に対応したシステムの導入有無を問う項目では、「導入している(自社開発を含む)」と回答した人の割合は18.8%、「導入予定」は19.0%、「検討中」は40.5%だった。
電子帳簿保存法の理解度を問う項目では、電子帳簿保存法について「よく知っている」と回答した人の割合は21.0%、「少しは知っている」は53%、「法律の内容は知らないが、名前は知っている」としたのは26%だった。また、2020年10月に施行される改正内容の理解を問う項目では、「よく知っている」と回答した人の割合は12.5%、「少しは知っている」は39.0%、「内容は知らないが、改正されることは知っている」とした割合は48.5%だった。改正内容については、約半数が「内容を知らない」という結果となった。
改正電子帳簿保存法に対応したシステムの導入割合は2割にも満たないが、導入が進まない原因としてまず考えられるのがコストだ。しかし、阻害要因はそれだけではなさそうだ。
すでに電子帳簿保存法に対応したシステムを「導入している」または「導入予定」と回答した人に対してその理由を尋ねた項目では「ペーパーレス化の促進」が最も多く、74.8%(複数回答)にも上った。次点は、「経費精算業務の効率化」で45.7%だった。
電子帳簿保存法に対応したシステムを運用する上での問題についても聞いた。最も多かった回答は「一般社員の理解が進んでいない」37.5%(複数回答)、次いで「運用プロセスが複雑」の34.4%だった。
これに対して、電子帳簿保存法に対応したシステムを「導入する予定はない」と回答した人に対して理由を問う項目では、「導入するための費用がない」が最も多く32.2%(複数回答)を占めた。次いで、「役員/役職者の理解が進んでいない」が27.6%だった。
電子帳簿保存法の改正に関連して、経費の決済手段としてキャッシュレス決済の導入有無を尋ねた項目では、「全社的に導入している」と回答した人の割合は18.3%。これに対して「未導入」と回答した人の割合は61.3%だった。
また、所属部署でのペーパーレス化の進み具合についても、「かなり進んでいる」と回答した人の割合は9.3%だったのに対して、「進んでいない」は58.3%だった。
今回の調査結果では、電子帳簿保存法への対応意欲はあるが追い付けておらず、その大きな理由として、システム対応への予算不足や役員、役職者の理解不足があることが分かった
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