「サーバ」シェア(2020年第2四半期)
IDC Japanは2020年第2四半期のサーバ市場の動向とベンダーシェアを発表した。COVID-19の流行というネガティブな要素があったものの、富岳の出荷などがあり、売上額で見ると、前年同期と比べてプラス成長となった。
IDC Japanが発表した「2020年第2四半期(4月〜6月)の国内サーバ市場動向」によれば、2020年第2四半期の国内サーバ市場全体の売上額は1332億円で、前年同期から22.2%増加した。出荷台数は10万8000台で、前年同期から9.9%の減少となった。
2020年第2四半期の国内サーバ市場は、売上額が前年同期比で2桁のプラス成長となった。市場を製品別で見ると、x86サーバは前年同期比でマイナス成長となりましたが、メインフレームは、2桁のプラス成長を遂げ、その他のサーバ(注)は、3桁のプラス成長となり、国内サーバ市場をけん引した。
特に、その他のサーバは前四半期(2020年第1四半期)に引き続き、スーパーコンピュータ「富岳」の出荷があり、国内サーバ市場全体のプラス成長に貢献した。富岳は、2020年第1四半期および第2四半期の2回に分けて分納され、売上計上は2四半期にわたったとIDCはみている。
x86サーバの売上額は前年同期比5.2%減の881億円で、出荷台数は前年同期比11.9%減の10万5100台だった。x86サーバのうち、「Standard Server」(ベンダーが公開するカタログに掲載された標準的なマザーボードや筐体をベースとしたサーバ)の売上額は前年同期比10.4%減の725億円で、出荷台数が同19.6%減の8万3500台だった。
マザーボードや筐体が特定の顧客や用途向けに設計された「Custom Server」は、売上額が前年同期比30.2%増の156億円で、出荷台数が同39.5%増の2万1600台だった。Standard Serverは、ITサービスや官公庁向けの大口案件などがあったが、前年同期にあった流通、文教、製造向け大口案件などの反動で、売上額、出荷台数ともに2桁のマイナス成長とだった。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響も2桁マイナス成長の一因になったのではとIDCはみている。
一部の企業において、在宅勤務へのシフトにより社内業務処理が滞り、契約締結が遅延したケースや、出社従業員数が減少し、納品検収対応が困難となり、サーバ搬入日を延期したケースなどがあり、サーバベンダーの今期売上計上に至らなかったケースがみられた。これらのネガティブな影響は、主に、在宅勤務に不慣れであった中小規模事業者で発生したとIDCはみている。
Custom Serverは、前年同期に売上額、出荷台数ともにマイナス成長だった反動で、今期は、売上額、出荷台数ともにプラス成長となった。なお、Custom ServerにおいてはStandard Serverと異なり、COVID-19の流行によるネガティブな影響は特に見られなかった。むしろ、COVID-19の流行により企業のクラウドシフトが進み、Custom Serverのプラス成長にポジティブな影響をもたらしたとIDCはみている。
メインフレームは、売上額が前年同期比48.2%増の157億円だった。前年同期は2桁のマイナス成長だったが、今期は流通、金融、運輸向けの大型案件があり、2桁の大幅なプラス成長となった。
その他のサーバは、売上額が前年同期比436.8%増の294億円だった。理化学研究所計算科学研究センター向け富岳をはじめ、官公庁、文教、金融向けの大型案件があった。なお、富岳を除いたその他のサーバの売上額は、前年同期比46.1%増の80億円となり、富岳を除いても好調だった。メインフレームやその他のサーバでは、COVID-19の流行によるポジティブな影響もネガティブな影響もみられなかった。
ベンダー別市場占有率(売上額ベース)を見ると、1位のベンダーは35.2%、2位は14.2%、3位は9.4%、4位は9.2%、5位が7.2%だった。5位のベンダーは、前四半期(2020年第1四半期)の6位から順位を上げて5位となった。出荷台数ベースでは、1位のベンダーが首位奪取した結果となった。
IDC Japanの下河邊 雅行氏(エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャー)は、「x86サーバでは、Standard Serverの売上額が前年同期比で2桁減となった。中小規模事業者向けや、店舗設置、組み込み用途などに使用されるタワーサーバの売上額が、3割強減少したことが大きな要因だ」とコメントする。
注:「その他のサーバ」とは、「ARMサーバ」「RISCサーバ」「IA64サーバ」「ビジネスサーバー」の総称
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「x86サーバ」と「メインフレーム」がマイナス成長の一方で、ARMサーバ、RISCサーバなどの「その他のサーバ」は、スーパーコンピュータ「富岳」への出荷などもあり3桁のプラス成長となった。