レガシー情報機器の利用状況(2020年)/前編:IT担当者300人に聞きました
テレワークの普及によって電話やFAXといった「オフィスに出勤することを前提とした情報機器」の利用状況が変化している。これらを廃止したいと考える企業が一定割合ある一方で、根強く「廃止できない」と考える企業も目立つ。
キーマンズネットは2020年10月5〜16日にわたり、「レガシー情報機器の利用状況」に関する調査を実施した。本調査では、コロナ禍以降に利用が減少すると想定される電話やFAXなどを“レガシー情報機器”と定義し、それらの現状での利用状況や課題、今後の継続利用意向などについて調査した。
全回答者は138人で、内訳は情報システム部門が27.9%、製造・生産部門が26.5%、経営・経営企画部門が8.1%、営業/営業企画・販売/販売促進部門が7.3%となった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
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コロナ禍で使わなくなっても廃止できないオフィス機器、なぜ?
2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって経済や生活様式が大きく変化した。
国内企業においてもテレワークや在宅勤務、時差出勤などで感染リスクを抑えた働き方ができるよう制度やインフラを見直す事例が出ている。こうした背景から企業活動において利用場面が減少すると予測される機器を“レガシー情報機器”と定義し、まず現在の利用状況について調査した。
その結果「現在利用しており、今後廃止する予定」の機器として「FAX」が9.6%、「電話」が7.4%、「TV会議システム」が4.4%の順で挙がった。
一方で「利用しており、今後も利用する予定」の機器として「電話」81.6%、「FAX」80.1%、「TV会議システム」68.4%が上位に挙がり、今後は電話やFAXを廃止すると考える企業が一定割合ある一方で、利用を継続する意向も高いことが見て取れた。(図1)
「原則として全社テレワーク」でも固定電話を持ち続ける理由とは
固定電話は全体の9割弱で利用されており、81.6%の回答者が「今後も利用を継続する」と回答した(図1)。理由として最も多かったのは「代表電話として必要」という回答で、その他には以下のようなコメントが寄せられた。
- 携帯電話の番号では信用されない
- 代表電話をなくすことはできない
- 顧客からの問い合わせ対応のため
- 顧客がオフィスでの電話対応を必須としているため
- 携帯電話を全従業員に支給するコストが大きいため
- ネットワーク障害や停電時の対策として最小限の回線は残しておきたい
社会的信用の確保や顧客サービス、コスト、非常時のバックアップなどを背景に、固定電話へのニーズは今後も残る傾向が見えた。
一方で「テレワーク化に伴ってクラウドPBXに移行している」という回答もあり、固定電話同等のメリットを維持したままスマートフォンへ移行する企業があることも分かった。
TV会議システムも淘汰(とうた)の時代か
TV会議システムは、回答者の7割が「利用している」と回答した一方で“廃止予定”の機器としても3位(4.4%)に挙がった。利用者にTV会議システムの課題を聞いたところ25.3%が「音声品質が悪い」、18.2%が「設定が煩雑」、17.2%が「機材が高価」と回答した。(図2)その他には「通信遅延が問題」「web会議のほうが使いやすい」といった意見があった。
また、TV会議システムを利用している企業は「Zoom」や「Teams」などの、PCやスマートフォンアプリを使ったWeb会議システムの利用率も高かった。(図3)
一般的にTV会議システムは「Web会議システムよりもマイクやスピーカーが高機能で質の良いオンライン会議が期待できる」とされているが、音声品質を課題視する回答が目立つ。一方で遠隔会議の頻度が増えたことから、品質にそこまでこだわらない会議の増加に伴ってコストや使いやすさを重視し、クラウド型を中心としたWeb会議システムへの移行を検討する実態が見えた。
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