デジタル人材の転職意向、「行政のデジタル化」に関心を寄せる理由とは?
ビズリーチが実施したアンケートによると、行政のデジタル化に関連した仕事に興味を持っているデジタル人材の割合は84%だった。自身のスキルや経験を社会に還元したいと考えるデジタル人材は多いようだ。
ビズリーチは2020年12月7日、同社が運営する転職サイト「ビズリーチ」の会員を対象に実施した「行政のデジタル化に関連した仕事に対する意識アンケート」の結果を発表した。それによると、デジタル人材の84%が、行政のデジタル化に関連した仕事に興味を持っていた。
今回の調査は、2020年11月23日〜同年11月29日に実施し、1164人から有効回答を得た。なお「デジタル人材」とは、「あなたはご自身をデジタル人材であるとお考えですか」との質問に対して、「そう思う」「どちらかといえば、そう思う」と回答した580人を指す。
本稿でのデジタル人材とは、ビズリーチが定義する「最先端のテクノロジー知識を用い、自社あるいは顧客に価値を提供できる人材」を指し、IT人材だけでなくプロデューサー、ビジネスデザイナーなど企画の立案や推進を担う人材も含む。
民間のデジタル人材は行政への転職意向高め? 副業にも意欲
行政のデジタル化に関連する仕事への携わり方に関して聞くと、「官公庁への転職(正規職員など)」を希望する人が半数以上だった。「副業・兼業」を希望する人も約3割を占めた。ビズリーチが2020年6月に実施した調査では、副業や兼業について報酬よりも仕事内容を重視しているビジネスプロフェッショナルが多く、副業や兼業を学び直しの機会と捉える傾向があった。今回の調査でも、学び直しの機会として官公庁の仕事を捉えている人が多いと同社は推測している。デジタル人材の活用を考える企業は、人材流出を防ぎ、さらに人材を活用するために副業の制度を整えておくと良いだろう。
行政のデジタル化に関連した仕事に興味を持った理由はなぜだろうか。
「仕事を通じて社会貢献したいから」と回答した割合が最も多く53.2%(複数回答)だった。次いで、「新たな経験やスキルを養い、仕事の幅を広げたいから」が52.8%だった。これに対して「報酬のため(安定した収入や、副業による収入アップ)」と回答した割合は17%にすぎず、この点からもビズリーチでは、官公庁での仕事を通して自身のスキルや経験を社会に還元したいと考えている人が多いと分析している。
一方、行政のデジタル化の実現に向けた民間人材の活用については、「積極的に採用すべきだ」と回答した割合は76.2%、「どちらかというと採用すべきだ」は22.6%、「どちらかというと採用の必要はない」は0.9%、「採用の必要は全くない」は0.4%、だった。自由意見としては、「さまざまな業種から民間人材を登用し、多角的な視点でデジタル化を進めてほしい」「民間人ならではの利用者目線から、システムの大枠だけでなくサービス全体の構築ができる人材を活用できる」「官公庁から民間企業への出向も併せて進めていく必要がある」などの回答があった。
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