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コロナ禍こそ“使える”Microsoft Forms 4つの活用シーンとPower Automateとの連携法

コロナ禍によりセミナーやイベントもオンラインシフトの動きが見られる。参加者の反応を得るために、今までは用紙を配ってアンケートを取っていたが、オンラインでは従来の方法を採ることは難しい。Microsoft Formsはそうした場面で役立つツールだ。

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 「Microsoft Forms」をご存じだろうか。もともとは教育機関向けに提供されていたサービスだが、今では「Microsoft 365」に含まれる企業向けサービスとしても提供されている。Microsoft Formsは、アンケートやクイズ、申し込みやデータ収集のためのフォームを簡単かつスピーディーに作成できるものだ。また、Microsoft Teamsや「Microsoft Power Automate」と組み合わせることで、さらに活用用途が広がる。本連載の最終回となる本稿では、Microsoft Formsの有効な利用法を紹介しよう。

著者プロフィール:太田浩史(内田洋行 ネットワークビジネス推進部)

2010年に内田洋行でOffice 365(Office 365の前進であるBPOS)の導入に携わり、以後は自社、他社問わず、Office 365の導入から活用を支援し、Office 365の魅力に憑りつかれる。自称Office 365ギーク。多くの経験で得られたナレッジを各種イベントでの登壇や書籍、ブログ、SNSなどを通じて広く共有し、2013年にはMicrosoftから「Microsoft MVP Award」を受賞。


 ここからはMicrosoft Formsの主な活用シーンを4つに分けて説明していきたい。

1.Microsoft Formsの基本的な活用用途「アンケートの作成」

 Microsoft Formsの代表的な活用用途がアンケートフォームの作成だ。最近は時節柄、企業が実施するセミナーなどはオンラインにシフトし、会場でアンケート用紙を配布してといった方法を採ることが難しくなっている。Microsoft Formsでのアンケートの作成手順は、どの設問をどういった形式で回答してもらいたいかを決めていくだけだ。例えば、セミナーの満足度であれば星の10段階評価、感想であればテキストの自由記入といった形だ。


(左)アンケートの作成画面、(右)パソコンやスマートフォンでアンケートに回答できる(資料提供:内田洋行)

 PCの他にスマートフォンでも回答できる。回答する側にとっても紙に記入するよりも手軽に感じるだろう。結果はリアルタイムで集計、グラフ化され、概要を一目で確認できる。より詳細なレポートが必要であれば、Excelファイルとして回答データをダウンロードし、結果をまとめることも可能だ。


アンケートへの回答はリアルタイムで集計されていく(資料提供:内田洋行)

 2020年に筆者が講師を担当したオンラインセミナーでは、Microsoft Formsを利用してセミナーアンケートを実施した。結果として興味深いのは、参加者のおよそ7割がアンケートに回答し、さらに回答者の6割以上が自由記述の設問にも答えており、紙で行っていたアンケートよりも高い回答率を得られた。特に、自由記述欄には具体的な内容の回答が多く、キーボードの入力で回答できる手軽さによる効果だと感じている。また、セミナーの翌日に回答した参加者もあり、紙のアンケートでは得ることのできない効果を得られたと筆者は感じる。

2.Power Automateとの連携でフォームの入力情報を有効活用

 社内外に向けたイベントやサービスの申し込みフォームの作成に利用する例もある。この場合もフォームの作成はアンケート同様に回答項目を追加するだけだが、さらに、Microsoft FormsとPower Automateとを連携させることもできる。例えば、申し込みフォームから送信されたデータを「Microsoft SharePoint Online」のリストに自動的に格納し、Microsoft Teamsのチャットでチームメンバーに通知するといったことなどが可能なる。


Power Automateと連携することで、フォームに入力されたデータをさらに活用できる(資料提供:内田洋行)

 Microsoft FormsのデータをPower Automateで連携させるにはちょっとしたコツが必要だ。Power Automateの処理を作成するときに、Microsoft Formsの「新しい応答が送信されるとき」トリガーに加えて、「応答の詳細を取得する」アクションを設定する必要がある。これによって、フォームに入力されたデータをPower Automateのさまざまな処理で利用できるようになる。サービスの連携と聞くと難しく感じるかもしれないが、このパターンさえ覚えておけば、さまざまな用途で簡単に活用できるようになるだろう。

3.Microsoft Teamsのタブアプリでアンケートを共同作成

 アンケートや申し込みフォームなどを作成する際、複数の関係者と一緒になって作成したい場合もあるだろう。Microsoft TeamsのチームのチャネルでタブアプリとしてもMicrosoft Formsを利用でき、タブから作成されたフォームは自動的にチームのメンバーに共有される。


Microsoft FormsもMicrosoft Teamsのタブとして利用できる(資料提供:内田洋行)

 設問や項目のレビューや共同作業が容易となるほか、フォームから送信された結果にもすぐにメンバー全員と共有できる。これによってアンケートの結果をまとめて後からメールで共有するといった手間は不要になる。これまでは、後から担当者がアンケートの回答を整理して関係者に共有するといった作業を伴っていたが、それでは結果が共有されるまでに数時間から数日間の時間を要する。Microsoft TeamsとMicrosoft Formsを組み合わせることで、結果をリアルタイムに共有でき、すぐにチームで行動に移せることで業務の効率化につながる。

4.メールベースだった情報共有をFormsで

 Microsoft Formsのフォームでは、回答者が資料をアップロードして送信するといったこともできる。筆者の社内では、必要な情報をメールの本文に書き、資料を添付して担当者に送信するといった業務がある。しかし、従業員の不備や見落としによってメールに記載されるべき情報が漏れたり、書き方が統一されておらず確認に時間がかかってしまったりといった課題があった。そこでメールではなくMicrosoft Formsを利用することにした。


資料の提出に必要な項目を入力させながら、同時にファイルもアップロードしてもらえる(資料提供:内田洋行)

 それによって情報の伝達漏れもなくなり、さらには情報の送信者側も何を記入し送ればいいかを調べる手間もなくなった。さらにPower Automateと連携することで、送信されたデータやファイルをSharePoint Onlineに整理、保存し、関係者へ自動通知するといった仕組みも実現した。業務の中には、非効率なやり方を続けているものもあるかもしれない。このように、メールでやりとりしていたこともMicrosoft Formsに置き換えられるものもある。すぐに取り掛かれる業務改善の最初の一歩として、Microsoft Formsの活用は効果的であると筆者は思う。

Power Appsとの使い分け

 Microsoft Formsを業務アプリのように利用できるとなると、Power Appsで作成するアプリとの違いや使い分けが気になる人もいるかもしれない。Power Appsで作成したアプリもMicrosoft Formsと同様に、入力フォームから送信されたデータをSharePointに保存することは可能だからだ。

 Microsoft Formsを選択するメリットは大きくは2つあると筆者は考える。1つ目は、フォームの作成がPower Appsに比べて簡単であるという点だ。もちろん、Power Appsを利用することで入力値のチェックなど細かな設定をフォームに組み込むことができるが、そうした使い勝手よりも簡単に作成できることが重視される場面もあるだろう。2つ目は、社外の不特定のユーザーに対してフォームを提供できる点だ。代表的な利用例であるアンケートのように、社外からも回答を集めたい場合はMicrosoft Formsを利用することになる。

 Microsoft Formsは機能が分かりやすく、利用も簡単だ。簡単なアンケートや申し込みフォームであれば、すぐに作成、利用できる。こうした簡単さはユーザーにとって何よりのメリットとなるだろう。さらに、Power Automateと連携させることで、簡単な業務アプリのように利用することも可能だ。そうしたフォームや連携処理の作成はブラウザでの操作だけで済む。

 フォームに入力されたデータを処理するという動作は、業務アプリの基本的な動作だ。そうした基本的で簡単な業務アプリであっても、これまでの業務をより効率化できる可能性は大いにある。Microsoft 365のライセンスに含まれており、誰もが簡単に利用できるMicrosoft Formsを起点に、身近な業務の改善や効率化を検討してみるのも良いだろう。

 本連載を通じてMicrosoft 365の機能や利用方法を紹介してきた。Microsoft 365には数多くの機能があり、使い方も簡単なものが多い。アプリを知ってさえいれば簡単に利用できるのが近ごろのクラウドサービスの特徴であるように思う。まずは、Microsoft 365の機能に興味を持ち、知って、そして、実際に少しでも触ってみてほしい。そうした少しのチャレンジが業務の改善や効率化につながるだろう。今回の連載がそうした契機となれば幸いだ。

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