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2021年1月の緊急事態宣言再発令時を振り返る テレワーク実施率が急上昇した職種とは?

2020年から徐々に進んだテレワークシフト。2021年1月には再び緊急事態宣言が発令され、再び予断を許さない状況となった。緊急事態宣言再発令前後で、テレワークの実施率はどう変化したのか。企業全体と、職種別、業種別の実施割合から変化を探る。

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 カオナビHRテクノロジー総研は2021年3月3日、テレワークに関する実態調査(実施期間:2021年1月26〜28日)の結果を発表した。調査対象は、20歳代〜60歳代の自由業と社長職を除く有業者で、8716人から回答を得た。なお同社は、同様の調査を2020年5月や8月にも実施している。

緊急事態宣言再発令後、あの職種でテレワーク実施率が急上昇

 今回の調査によると、1都3県に発令された緊急事態宣言をきっかけに、それまで減少傾向にあったテレワークの実施率が上昇に転じた。

 2020年5月調査時のテレワーク実施率は35.5%、8月は23.2%、12月は20.4%と減少傾向が見られていた。それに対して緊急事態宣言が再発令された2021年1月8日以降のテレワーク実施率は24.6%と、2020年12月に比べて上昇した。内訳は「毎日リモートワーク」が7.6%、「出社とリモートワークを併用」が17.0%だった。


(左)「2021年1月8日以降のリモートワーク実施率」 (右)「2020年12月のリモートワーク実施率」(出典:カオナビHRテクノロジー総研)

出勤形態の比率の時系列推移(出典:カオナビHRテクノロジー総研)

 次に、テレワーク実施率を会社規模別に見ると、会社規模が大きいほどテレワーク実施率が高かった。この点は、2020年5月以降変化がない。職種別では、「営業職」(45.5%)、「事務系管理職」(44.7%)、「事務職・技術系事務職」(37.2%)でテレワーク実施率が高かった。この傾向も、2020年5月以降も変化はなかった。

 これら3職種は、2020年12月から2021年1月8日以降にかけてのテレワーク実施率の増加幅も高い。「営業職」は8.5ポイント、「事務系管理職」は9.2ポイント、「事務職・技術系事務職」は6.1ポイントだった。中には、テレワークの実施割合が大幅に伸びた職種があった。


(左)「2021年1月8日以降の職種別リモートワーク実施率」(右)「2020年12月の職種別リモートワーク実施率」(出典:カオナビHRテクノロジー総研)

 注目すべきは公務員で、2020年12月時点のテレワーク実施率が9.5%に対して、2021年1月8日以降は17.1%と、7.6ポイント増加した。また、「出社とリモートワークを併用」の割合が、2020年12月時点の8.5%から2021年1月8日以降には22.9%へと急上昇した。カオナビHRテクノロジー総研では、公務員は窓口業務をはじめとする出勤が不可欠な業務があり、分散出社を模索していると分析している。

 一方、業種別に見ると、「IT・インターネット」のテレワーク実施率が64.2%で、他業種を圧倒している。それに対して2020年12月から2021年1月8日以降にかけて、テレワーク実施率の増加幅が大きいのは、「マスコミ・広告」(8.3ポイント)、「通信・インフラ」(7.9ポイント)、「金融」(7.5ポイント)だった。


(左)「2021年1月8日以降の業種別リモートワーク実施率」(右)「2020年12月の業種別リモートワーク実施率」(出典:カオナビHRテクノロジー総研)

 今回の調査結果について、カオナビHRテクノロジー総研で研究員を務める齊藤直子氏は、「一部地域とはいえ、2021年1月8日の緊急事態宣言再発令時のテレワーク実施率は全体で24.6%と、必ずしも高いとは言えない状況だ。実施率が伸びない理由は、テレワーク制度を導入する企業が少ないこと。今回の調査では、制度はあるが利用していないという層は1割程度にすぎず、テレワークの制度がないと回答した割合は58.8%に上った。諸外国と比べると、この結果は企業を取り巻く法制度や業界団体からの要請状況に影響を受けているようだ」と考察する。

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