金融サービスは「ロケーションフリー」の時代へ りそな銀行で「脱専用端末」進む
ローコード開発ツールの活用によって、りそな銀行はこれまで金融専用端末でのみ対応していた150種類の業務を、PCやタブレットなどで実行可能にした。
りそなホールディングス(以下、りそな)は2021年4月から、新たな営業店向けシステムの利用を開始する。新システムを構築したNTTデータとNTTデータソフィア、ジェネクサス・ジャパンの3社が2021年3月19日に発表した。ローコード開発ツールを採用し、当初想定した半分以下の期間で開発を完了した。一部の機能は2020年10月から試行を始めている。
銀行の営業店では、デジタル化によって顧客との対面接点が減少することが課題となっている。りそなでは、こうした課題を解決するため、デジタル受付端末を開発してロケーションフリー化を進めていた。
これまで窓口でしか対応できなかった業務がデジタル化、具体的には?
NTTデータとNTTデータソフィア、ジェネクサス・ジャパンの3社が開発したシステムは、これまで金融専用端末で対応していた業務の70%をPCやタブレットといった汎用端末で実施できるようにした。具体的には口座開設や普通預金振替、定期口座開設、積立定期口座開設、入出金、生体登録、各種照会取引など、およそ150種類の勘定系取引業務を可能とした。それらを担うWebアプリケーションの開発にはローコード開発ツール「GeneXus」を採用した。当初の工期は16カ月だったが、同ツールの採用によって開発期間を短縮させ、7カ月で開発を完了できたという。
NTTデータはGeneXus採用の決め手について「情報技術の進化にタイムリーに追従しつつ、限られた人的リソースを集中投資可能であると評価した」と述べている。開発経験が浅くても開発に参加できるよう、NTTデータとNTTデータソフィアがGUI開発ツールとしてGeneXus用開発標準も策定したという。
NTTデータは、りそなホールディングス傘下の各銀行でGeneXusを用いたシステムの開発に着手している。
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