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ワークフローツールの導入状況(2021年)/前編

大企業を中心に脱Excel、ペーパーレス化が進み、ワークフローはシステム化されつつある。しかし一方で、ニューノーマル対応の足かせとなっているという声もあり、ユーザーの不満は増加している。ワークフローツール”離れ”の兆候か?

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 キーマンズネットは2021年4月7日〜23日にわたり「ワークフローツールの導入状況」に関する調査を実施した。全回答者数165名のうち、情報システム部門が28.5%、製造・生産部門が17.0%、営業・販売部門が12.7%、経営者・経営企画部門が6.8%といった内訳であった。

 今回はワークフローツールの「導入率」や「満足度」などの質問からツールの導入・利用実態を調査。大企業を中心にツールの導入が進んでいる一方で、不満の声が増していることなどが分かった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

進む脱Excel化/ペーパーレス、ワークフロー“ツール”や“機能”の活用が増加傾向


(図1)社内書類の申請・回覧の運用方法

 はじめに、社内業務の申請や資料回覧がどのように運用されているかを複数回答で聞いたところ、最も多かった回答が「グループウェア内のワークフロー機能を使って申請する」で47.3%、次いで「ワークフロー専用ツールで申請する」が40.0%だった。

 「Excelなどのツールで書類を作成した後、紙に印刷して申請する」と回答した割合は30.9%あり、2019年1月に実施した前回調査と比べると24.5ポイント減少した。「所定の用紙に手書きで記入して紙で申請する」と回答した割合は23.6%で、前回調査と7.2ポイント減少している(図1)。およそ2年で「脱Excel/ペーパーレス化」が進んでいる状況が見えた。

 脱Excel、ペーパーレス化が進んだのであれば、ワークフローツールの導入率も上がったのか。そこでワークフローツールの導入状況を調査したところ「今後、追加やリプレースを予定/検討している」と回答した割合も含めると、導入率は65.4%で、2019年の前回調査より5.7ポイント減少した。一方で「導入の予定はない」と回答した割合は13.3%で、前回調査から9.0ポイント増加している。

 企業規模別で見ると、従業員数の多い大企業ほど導入率もリプレースを検討している割合が高く、1001人以上の大企業では4社中3社が導入していた。一方で従業員規模の少ない中小企業ほど「必要性を感じるが導入時期は未定」「導入の予定はない」と回答する割合が高い傾向にあり、従業員100人以下の中小企業ではワークフローツールの導入率は半数に満たなかった。

”不満”が過半数……ワークフロー専用ツールは「オワコン」なのか

 脱Excel化やペーパーレス化にワークフローツールや機能の活用が進んでいる現状が分かったが、ツールへの不満や課題はないのだろうか。そこで利用中のワークフローツールへの満足度を調査したところ「とても満足」1.8%と「まあ満足」44.8%で満足度は46.6%となり、「不満」を感じる割合のほうが高いことが分かった(図2)。前回調査と比較すると、満足度は直近2年で11.0ポイント減少している。


(図2)利用中のワークフローツールへの満足度

 具体的にどのような点に不満を感じているか、フリーコメントから原因を推察してみると、大きく3つのキーワードが浮かび上がった。「ツールの仕様と業務実態との乖離」「テレワークとの相性の悪さ」「利用する“人”の問題」だ。

ツールの仕様と業務実態との乖離

  • 業務プロセスが多岐にわたり、業務ごとに違うものを使う。たまにしか申請しない業務はツールの使い方を思い出すのに時間が掛かる
  • ワークフローツールの仕様に時間制限があり、タイムアウトが発生すると製作中のものが消える
  • 申請の宛先が検索しづらく、宛先に制限がないため使いにくい

テレワークとの相性の悪さ

  • 外部アプリとの連携ができない(カレンダー、乗換案内、ECサイト等)
  • スマホやタブレットで使用できる機能が限定されている

利用する“人”の問題

  • 属人的に管理されていて、人によってムラができる
  • 全てをワークフロー化しても、結局は別途資料を作成するため工数が増える
  • 承認者が内容を理解せずに承認するため、数カ月経ってから申請内容について説明を求められる

 脱Excel/ペーパーレス化が進んだ一方でワークフローツールへの不満が高まった背景には、働く環境の変化に適した体制が整備しきれていないことが挙げられるだろう。前回調査からの大きな違いは、言うまでもなくCOVID-19流行による外部環境の変化がある。世界的に働き方が変化する中で、社内ワークフロー体制が実態に合わなくなってきている。それにも関わらず旧来の運用が続いていれば、「柔軟な働き方を阻害されている」という不満を感じるのは当然だろう。今回、ワークフローツールに「満足している」と述べた回答者は、フリーコメントでも「問題なくテレワークを実施できている」「印鑑が不要なので、フローがスムーズに完結する」など、テレワーク環境下でのワークフロー体制を評価する声が挙がっていた。

 後編ではこれらの状況を背景に進む「脱ワークフロー」の動きと、企業が見据える今後のワークフローの在り方について、従業員規模別に深堀りする。

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