Google Workspace奮闘記、脱Officeのコープさっぽろが語る活用術4選
仕事のオンライン化を進め、非効率な業務にメスを入れてきたコープさっぽろ。同社はGoogle ドキュメントやGoogleスプレッドシートを余すところなく活用して、脱ファイルサーバや脱ワークフローを果たし、会議や資料作成の効率を“圧倒的に”向上させたという。果たしてその方法とは。
生活協同組合コープさっぽろ(以下、コープさっぽろ)は2020年2月からGoogle Workspaceを活用し、業務のオンライン化に取り組んでいる。
同社はGoogle ドキュメントやGoogleスプレッドシートの使い方を工夫することで、脱ファイルサーバや脱ワークフローを果たし、会議や資料作成の効率を“圧倒的に”向上させた。CIOの長谷川 秀樹氏はGoogleが2021年5月27日に開催した「Google Cloud Day: Digital ’21」に登壇。その工夫について紹介した。
コープさっぽろはGoogleのユーザー会でも「脱Officeチーム」による業務改革といった印象的なキーワードで自社の取り組みを共有しているが、今回も同社ならではの活用術を共有している。
Google ドキュメントだけで会議を変革するTips
コープさっぽろは「G Mail」や「カレンダー」「Meet」「サイト」をはじめGoogle Workspaceのほぼ全ての機能を使っている。長谷川氏は、オンラインで仕事をすることの重要性を強調した上で、Google Workspaceの象徴的な活用法を挙げた。
一つ目は、Google ドキュメントを使って会議を効率化する方法だ。議論の空中戦になりがちな会話ベースの会議を、コメントや質問事項などをドキュメントに書き込みながら進める形式に変えることでこれによって「会議を圧倒的に効率化できる」という。
「従来は、皆が順番に発言するだけで多くの時間がかかっていた。参加者が10人いたら5人しか話せない。一人が発言している間に、他の参加者がGoogle ドキュメントでコメントや質問を書き込むことで、2つのチャンネルで会議を進行できる」(長谷川氏)
Google ドキュメントで脱ワークフロー
2つ目は、決済や承認にGoogle ドキュメントを使う方法だ。コープさっぽろのデジタル推進本部は、決済や承認が必要な案件を全てGoogle ドキュメント上にまとめ、リンクで見積書などの情報をひも付けている。
「決済権のある人間が集まった際には、ドキュメントを開くだけで全ての案件を確認できるようになっている。投資が決まった案件には、その場でドキュメントに『承認』と記載すればよいので、ワークフローツールは必要ない」(長谷川氏)
紙の稟議書を回す工程をワークフローツールで代替するのではなく、Google ドキュメントを使うことで、意思決定のスピードを上げられるという。
Google スプレッドシートはExcelのGoogle版だという勘違い
3つ目は資料作成の際、閉じたローカルスペースで作業を進めるのではなく、Google ドキュメントやGoogle スプレッドシートを使って、資料をメンバーと共有しながら作成する方法だ。
「従来は、PCのCドライブというローカルスペースで資料を作成し、社内に共有していた。しかし、いくら時間をかけて資料を作成しても、やり直しとなれば多くの作業が無駄になる。
作成段階からいつでも関係者がレビューできるようにすることで早期に軌道修正できる」(長谷川氏)
長谷川氏は「Google スプレッドシートがExcelのGoogle版だと思うのは勘違いだ」として、クラウドで作業内容を共有することの重要性と“脱Cドライブ”で得られる効果を強調する。
また、必要な情報をすぐに探し出せるような工夫も重要だ。同社は、作成した資料をGoogleドライブに保存し、検索すれば必要な情報を引き出せるようにする他、Google カレンダーの会議の欄にリンクを張り、他者と資料を共有できるようにしている。
「ファイルサーバの中を探してドキュメントを開くことを繰り返すのはおかしい。リンクを踏むか、検索をするかでドキュメントにアクセスできれば、資料の保存場所は気にならない。ファイルサーバはすぐさまやめよう」(長谷川氏)
Googleアカウントを使ってWindows 10デバイスにログイン
最後は、Google Workspaceの機能であるWindows用Google認証情報プロバイダ(GCPW)を使うTipsだ。この機能を活用することで、Google Workspaceのアカウントを使用して、「Windows 10」のデバイスにログインできるようになる。コープさっぽろでは、両者のログインを同一にすることで、デバイス管理が容易になった。
上記で紹介した活用術は、いずれもオンラインで仕事を“超並列”に進める具体的な手法だ。長谷川氏は、全労働時間の約90%が、会議、資料作成、意思決定などをはじめとするコミュニケーションベースの業務であり、これらをオンラインで進めることが圧倒的な生産性の向上につながると話す。その先にはさらなるステップとして、オンライン業務のオートメーション化が見えてくる。
なお、2021年は「ITの民主化」を掲げ、GoogleのノーコードツールであるAppSheetによってバックオフィスのアプリケーションを中心に開発を進める予定だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Googleのノーコード「AppSheet」とは? 使い方、RPA機能のメリット、料金を解説
Googleの「AppSheet」はプログラミングの知識がない人でもアプリケーションを開発できるノーコードツールとして注目を集めている。使い方や活用例、Microsoft PowerAppsとの違い、最近追加されたRPA機能の実力、料金などをまとめた。 - 「Google Workspace」は何が変わった? 「G Suite」とのプランと料金、機能の違い、改定ポイントを総整理
2020年はオフィスツールの代表格とも言える「Office 365」と「G Suite」がそれぞれ名称を変え、刷新された。G Suiteは「Google Workspace」という名になり、プラン体系も大きく変わったが、機能やライセンス料金など、従来とどこがどう変わったのか。一覧表を基に整理して見ていく。 - 「Microsoft 365」と「Google Workspace」の利用状況(2021年)/後編
MicrosoftとGoogleがそれぞれ提供するオフィスツールはどの程度定着しているのか、ユーザーは同ツールをどのように利用しているのかを機能や活用事例別に調査した。 - 「Microsoft 365」と「Google Workspace」の利用状況(2021年)/前編
MicrosoftとGoogleがそれぞれ提供するオフィスツールはどの程度定着しているのか、ユーザーは同ツールをどのように感じているのかを調査した。ロックインが進む中で「不満はあるが変えられない」といった声が見られた。