コロナ禍の働き方調査 中間管理職の「三重苦」が浮き彫りに
ワークシフトが進む中、ジョブ型雇用や、プロジェクトベースの働き方が注目される。チームスピリットが発表した中間管理職と一般従業員の働き方に関する調査から、中間管理職の「悲しい三重苦」が明らかになった。
「TeamSpirit」シリーズを提供するチームスピリットは、全国の士業やコンサルタント業、エンジニア業の企業の中間管理職(部長・課長・次長・係長・主任クラス)300人と一般従業員300人を対象に「プロジェクト型ワーカーに関する調査」(調査期間:2021年11月12日〜14日)を実施した。
大企業ほど上がる、コロナ禍のマネジメント難易度
コロナ禍におけるマネジメントの難易度について、役職者全体で見ると「マネジメントの難易度が上がったと思う」「どちらかと言うとマネジメントの難易度が上がった」という回答を合わせると48.0%と、半数に迫る。企業規模別に見ると、1000人以上の大企業の役職者では56.0%が「難易度が上がった」と回答し、999人以下の中堅および中小企業の44.0%と比べて12.0ポイント高く、大企業に所属する役職者ほどコロナ禍のマネジメントの難しさを感じる傾向がある。
大企業の役職者はサービス残業増
会社に報告していない超過勤務(サービス残業)が「増えた」「どちらかといえば増えた」という回答割合は全体で22.3%だった。役職者の24.6%が「増えた」と回答し、一般社員の20.0%と比べて4.6ポイント高い結果となった。大企業の役職者は26.0%が「増えた」と回答し、大企業の一般社員21.0%と比べて5.0ポイント高い。一般社員より役職者の超過勤務が多く、特に大企業の役職者で増えている。
身体的な負担や疲労感については、「増えた」「どちらかといえば増えた」という回答割合は全体で22.3%だった。この結果を規模別で見ると、大企業では34.0%が「増えた」と回答し、中堅および中小企業の26.8%に比べて7.2ポイント高い。大企業の役職者は39.0%が「増えた」と回答し、中堅および中小企業の役職者と比べて10.5ポイント高い。
サービス残業時間の増加や身体的な疲労感など苦労続きの大企業の役職者だが、チームメンバーとの関係性の調査から、さらに「悲しい事実」が明らかになる。
チームメンバーとの関係性、役職者と一般社員で認識にギャップ
チームメンバー(上司やマネジャーを除く)との関係性について、「相互で理解が足りていない」「どちらと言えば相互で理解が足りていない」と回答した割合は合わせて32.9%となった。役職別に見ると、一般社員は37.8%が「理解が足りていない」と回答し、役職者の28.1%と比べ9.7ポイント高い。役職者と一般社員の間で相互理解にギャップがある。
メンバー間の相互理解が足りていないと回答した理由について、回答者全体では「自分自身が忙しくてコミュニケーションする時間が取りにくい」が54.1%で最も高く、次いで「相手の忙しさを鑑みて、話しかけるのをためらってしまう」が42.9%、「相手のことを知らないから」が30.1%となった。
役職別に見ると、「自分自身が忙しくてコミュニケーションする時間が取りにくい」が役職者で65.5%と、一般社員の45.5%と比べて20.0ポイント高い。役職者は自身の忙しさからメンバーとの相互理解の時間を取れていないことが分かる。
イノベーション総合研究所 所長 間中健介氏は、「戦略は常に陳腐化し事業と資源はアンバンドル化されていく中、デジタルを活用した業務効率化は大前提だ。企業の戦略を支えるミドルマネジメント層が多様な価値観を持ち、リスクにチャレンジできる仕組みなくしては収益を維持できない。本調査にはミドルマネジメント層の負担や疲労感の増加、サービス残業の増加をうかがわせるデータがある。その背景を調査で深掘りされていないが、ミドルマネジメント人材の不足、不十分な権限移譲、企業活動実態に合わない基幹ITシステムの採用、外部人材との契約や登用手法の硬直性といった側面から、構造的問題として働き方を再定義することは有効だろう」と述べる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「4人に1人が高評価でもワークメンタリティ不調」 止まらない“びっくり退職”の原因とは
リクルートマネジメントソリューションズは、「上司評価とワークメンタリティに関する実態調査」を発表した。上司から高評価の従業員の多くがワークメンタリティに不調があることが明らかになった。期待している従業員のメンタル不調による"びっくり退職"を防ぐ方法とは。 - 2022年もテレワークを続ける? 企業の意識調査、2年目もアレが課題
テレワーク導入後の変化に関する調査結果によると、現在も出社率が50%未満の企業が大半を占めるようだ。今後の継続可否について企業はどう考えているのだろうか。