テレワークの若手の4割は転職希望 部下が辞める上司の特徴とは
リモートシフトが進む中、成長に対する不安を抱える若手社員は多い。Institution for a Global Societyの調査から、上司と部下間で起きるコミュニケーション認識のずれや、上司の“受け入れがたい”自己評価と他者評価のギャップが明らかになった。
Institution for a Global Society(以下IGS)は、コロナ禍でテレワークを始めた大企業勤務(従業員1000人以上)の若手部下(20〜35歳)と上司を対象に、「テレワーク下のコミュニケーションに関するアンケート調査」(調査期間:2021年12月17〜24日、28〜30日)を実施した。
上司との関係性が若手の転職に大きく影響
本調査によると、テレワーク下の若手従業員の約4割がコロナ禍で転職を検討しており、そのうち36.8%がコロナ禍前に比べて「成長に対する不安」を強く感じていると分かった。
成長に対する不安が「増えた」とした人と「減った」とした人を比較したところ、「上司との意思疎通のしやすさ」や「上司との率直な意見交換のしやすさ」の回答内容に大きな差があった。成長に対する不安が減った人は不安が増した人よりも、「上司との意思疎通のしやすさ」が45.9ポイント高く、「上司との率直な意見交換しやすさ」が35.6ポイント高いことから、若手の成長に対する不安は上司とのコミュニケーションの影響が強いことが分かる。
以降、上司と部下間で起きるコミュニケーションの認識のずれや、上司の“受け入れがたい”自己評価と他者評価のギャップが明らかになる。
上司と部下間で起きるコミュニケーション認識のずれ
上司に部下とのコミュニケーションについて調査したところ、「意思疎通のしやすさ・率直な意見交換は減った」と認識する人が5割と、上司側も部下とのコミュニケーションに課題を感じているのが分かる。
コロナ禍前のコミュニケーションとの比較についても、上司と部下それぞれに聞いた。「上司は、部下に対してコロナ前よりも対話的に話している」という調査項目では、部下の回答は上司の自己評価より19.8ポイント低く、「上司は部下に対してコロナ前よりも明るくコミュニケーションしている」では16.0ポイント低い。「上司は余裕をもってコミュニケーションしている」では部下の回答は上司より13.4ポイント低く、「上司は落ち着きながらコミュニケーションしている」も10.7ポイント低い。コロナ禍を通したコミュニケーションの変化に対する、上司と部下の認識のずれが分かる。
上司の360度評価と“受け入れがたい”現実
IGSの360度評価サービス「GROW360」の上司の評価データを分析した。コミュニケーション能力においては自己評価と他者評価の差が大きく、「外交力」が18.8ポイント、「寛容力」が17.5ポイント、「表現力」が17.5ポイント乖離(かいり)している。
360度評価を受けた上司は、評価に対して「評価基準がぶれやすく、結果の信頼性に疑問を感じる」(35.4%)、「忖度や不正など、恣意的な評価が入るため、結果を信用できない」(32.2%)、「結果の信頼性に疑問を感じる」(32.2%)と、結果に疑問を感じる人が多く、結果が行動につながるまでしばらく時間がかかりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 6割超が出社して仕事始め 2022年の働き方の理想と現実、働き方意識調査
長引くコロナ禍において2022年の働き方はどう変化するのだろうか。 社会人の働き方に関する意識調査の結果が発表された。 - コロナ禍の働き方調査 中間管理職の「三重苦」が浮き彫りに
ワークシフトが進む中、ジョブ型雇用や、プロジェクトベースの働き方が注目される。チームスピリットが発表した中間管理職と一般従業員の働き方に関する調査から、中間管理職の「悲しい三重苦」が明らかになった。