2022年1月に改正電子帳簿保存法(以下、改正電帳法)が施行された。2021年12月10日に発表された「令和4年度税制改正大綱」では2年の宥恕(ゆうじょ)措置が盛り込まれ、対応を先送りした企業も少なくない。
改正電帳法施行から1カ月、クラウド請求書受領サービス「Bill One」を提供するSansanが、2022年1月31日に発表した「電子帳簿保存法施行後の実態調査」(調査期間:2022年1月19〜21日)の結果から、企業のリアルな対応状況や業務改善の効果などが明らかとなった。
「改正電帳法に対応」は3割
調査結果によると、「改正電帳法に対応している」と回答した企業は31.5%にとどまった。従業員規模別規模が大きい企業ほど対応が進んでいる傾向が見られた。
対応企業の実感と対応方法とは
改正電帳法に対応している企業は、どのような方法で同法への対応を進めたのだろうか。業務効率の変化とともに見ていきたい。
改正電帳法に対応している企業の多くは、同法に対応したことで業務上のメリットを感じている。「デメリットよりメリットの方が大きいと感じた」と回答した割合は69.8%となった。具体的な内容としては、「請求書を処理する時間が減った」「請求書を探すのが容易になった」「勤務先で書類のペーパーレス化が進んだ」「業務フローが単純になった」「在宅勤務ができるようになった」などが挙がった。
同時に、改正電帳法対応のメリットが大きいと感じている企業の半数近くが、同法に対応したクラウドサービスを新たに導入したことも分かった。改正電帳法への対応方法として、「電子帳簿保存法に対応したサービスを導入した」と回答した割合は47.7%で最多となった。次いで「電子帳簿保存法に対応したサービスを導入せずに自社で対応した」は31.8%、「電子帳簿保存法の改正が公表される以前から対応していた」は19.5%だった。
一方、改正電帳法に対応していない企業でも、3割以上は早期の対応を考えているようだ。「2022年のうちに検討を始める予定」と回答した割合は31.7%で、「2023年以降に検討を始める予定」は2.1%だった。
なお、今回の法改正では、事前申請の廃止やタイムスタンプ要件の見直しなどによって、規制が緩和された。また、電子データで書類を受領した場合には、電子データでの保存が義務化された。
SansanでBill One Unitのプロダクトマーケティングマネジャーを務める柴野 亮氏は、「今回、改正電子帳簿保存法に対応できる準備が整っていないという理由から、電子保存の義務化には2年の猶予期間が設けられたが、これは同法やデジタル化に『対応しなくてよい』というメッセージではない。2023年にはインボイス制度の導入が予定されており、請求書業務が大きく変わる中、業務の見直しは急務だ」と述べている。
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