CEOの給与は従業員の20倍以上? “超”有名大手企業の知られざる給与事情
所得差の拡大は世界中で問題になっている。米国大企業ではCEOと従業員の間には約2022%の賃金格差があるというから驚きだ。知りたいけど知りたくない、有名大手企業の知られざる給与事情を紹介する。
所得差の拡大は何十年にもわたって問題視されており、労働者によるウォール街の占拠といった運動も沸き起こった。CEO(Chief Executive Officer)と自社の従業員の給与格差は特に顕著で、格差は長年にわたって拡大している(注1)。
米国大企業では、CEOは年間平均1億4761万円と高額収入を得ているが、所属する企業の従業員との間には約2202%の賃金格差があるというから驚きだ。
“超”有名大手企業CEOの給与事情
2021年11月9日、転職情報サイトLensaの調査で世界各国のCEOと従業員の給与の比較結果が発表された(注2)。CEOの給与が高いのは米国、英国、ドイツの順番で、CEO間の給与格差が最も大きいのはギリシャ、英国、イタリアの順番で、米国は7位だった。
CEOの給与格差が最も小さいのはエストニア、ポーランド、アイスランドとなった。Lensaによれば、エストニアでは、従業員の給与はCEOの平均給与の41%を占めた。
経済政策研究所のEconomic Policy Instituteの特別フェロー、ローレンス・ミシェル氏へのCNBCのインタビューによれば、格差の拡大は企業間の競争が原因だという(注3)。「CEOは平均以上の報酬を受けるべきだ」と信じられており、「この慣習は1990年代に浸透した」とミシェル氏は語った。批判にもかかわらず、CEOと労働者間の賃金格差は変わる様子はない(注4)。
Lensaの調査では、ブライアン・ロバーツ氏(Comcast)の報酬額は344万ドル、ティム・クック氏(Apple)の報酬額300万ドルといった、高収入なCEOがいた。また、Coca-ColaとStarbucksは、CEOと他の従業員の間で特に大きな賃金格差があった。Coca-ColaのCEO、ジェームズ・クインシー氏が160万ドルの報酬を得る一方で、従業員の給与の中央値は1万1342ドルだった。
TeslaのCEO、イーロン・マスク氏と従業員の賃金格差は小さく、Teslaの平均的な労働者よりも賃金が低かった。しかし、同氏の報酬は基本給が総賃金のごく一部にすぎない。2020年のLensaの発表で、マスク氏は主に「会社の業績が特定のベンチマークに達した場合のストックオプションと報酬」を通じて「驚異的な66.6億ドル相当の報酬」を受け取ったと述べている。
最近のCEOの給与の上昇に対して株主からも反発がある。The Wall Street Journalの4月の報告では、2020年9月に有権者投票を行った6社のうち1社が、株主から出された賃金一括提案に対する支持を70%未満しか受けなかった。この数字は前年の12社に1社から下落している。
出典:Big company CEOs outearn employees by an average $1.2M, study says(HR DIVE)
(注1)CEO pay has skyrocketed 1,322% since 1978
(注2)CEO Wage Gap How do CEO salaries compare to what their workers earn?
(注3)WORK In 2020, top CEOs earned 351 times more than the typical
(注4)C.E.O. Pay, America’s Economic ‘Miracle’
© Industry Dive. All rights reserved.
関連記事
- 稼げるIT資格ランキング 2022年版
IT分野の従業員の92%が何らかのIT資格を取得している。調査の結果、最も平均年収の高い資格と、業種を限定せずに需要の高い分野の資格が明らかになった。 - 儲かる企業のリーダーは何に取り組み、従業員は何を得ているのか
多くの経営者が、企業文化をビジネスの優先事項と捉えている。文化とビジネス戦略を結び付けられるリーダーを持つ企業は、3年間で同業他社の2倍以上の財務実績を生み出している。