DX認定制度とは? 取得のメリットとIT導入を「ただのデジタル化」にしない方法
2025年問題を背景に、企業のDX推進するねらいで創設された。取得を通してデジタル活用による生産性の向上を目指せる。
サマリー
- DX認定制度の概要
- 認定を取得するメリット
- DX認定の取得方法
DX認定制度とは、経済産業省が「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和元年法律第67号)に基づいてDX推進に取り組む企業を認定する制度だ。「デジタルガバナンス・コード」の基本的事項に対応する企業にインセンティブを付与し、官民のデジタル化を推進するねらいがある。
認定に当たっては戦略的なデジタル技術の活用と経営層の関与、運用体制の確立が必要要件とされる。DX認定取得の活動が、そのまま社内のDX促進や生産性向上に繋がる。
DX認定制度の概要
近年、労働人口の減少やデジタル化への取り組みの遅れから、労働生産性の低下が問題視される。経済産業省の「DXレポート」によると、このままDXが進まなければ2025年以降、日本企業において年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされている(2025年の崖問題)。
こうした背景に政府はデジタル庁を創設し、組織の縦割りを排して国全体のデジタル化を主導したい考えだ。その一環として、官民共同での取り組みが不可欠としてDX認定制度が創設された。
本制度では企業の申請に基づき、デジタルガバナンス・コードを基準として「DX認定事業者(DX-Ready)」の認定を実施する。DX認定事業者の中から特に優れた取り組みをする企業は「DX-Emerging」「DX-Excellent」に選出される。企業は認定を受けることで、デジタル投資に関する優遇措置や企業価値向上などが可能になる。
認定を取得するメリット
「DX-Ready」の認定を受けると以下のようなメリットがある。
ポータルサイトへの掲載
情報処理推進機構(IPA)の運営するDX推進ポータルに認定事業者として掲載(2022年3月時点で227件)される。
経産省の企業選定対象になる
「DX銘柄」「DX注目企業」などの経産省が主導する優秀企業ピックアップ施策に応募する資格が得られる。
税制の優遇措置を受けられる
DXに当たって必要なシステム費、導入初期費用等に特別償却または税額控除を受けられるDX投資促進税制の対象となる。
自社のDX推進
自社のDXを適切に進め、単なる「デジタル化」ではないDXを実現することで企業価値や業務の生産性を高められる。
DX認定の取得方法
DX認定制度は書類で審査され、通年いつでも応募できる。現時点での取得企業はJFEスチールといった大企業からスタートアップまで幅広い。申請の流れは下記の通りだ。
- DX推進ポータルのログインIDを取得
- 申請書類のダウンロードおよび作成
- ポータルサイトから申請書を提出
- 認定
申請に必要な書類は「認定申請書」と「申請チェックシート」「補足資料」のみだが、認定基準に「経営者がリーダーシップ取ってDXへの具体的な方策や組織体制を敷き、それを明言していること」があり、申請書でそれらを「どこで公表しているか」を明示する必要がある。
認定取得の上で重要なのは、方策や組織体制の策定と公表(WEBサイトへの掲載など)だ。担当者はデジタルガバナンス・コードをよく理解し、経営層や管理者層が認定基準に沿った方針策定をできるようなファシリテーションを実施する他、公表場所の選定や手続きの実務を担う必要がある。
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