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改正電子帳簿保存法への対応状況(2022年)/前編

認知度が高く、改正内容の周知も進んでいる。一方で業務が追い付いておらず一部が「違法状態」になっている可能性がある。

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 キーマンズネットは、2022年5月27日〜6月13日にわたり「改正電子帳簿保存法への対応」に関するアンケートを実施した。2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法(以下、改正電帳法)はバックオフィス業務に深く関わり、場合によっては今のワークフローを見直す必要がある。本調査では、改正電帳法の理解度と自社の変化、自業務への影響を聞いた。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。

改正電帳法の認知度は“9割超え”、さすがに浸透

 改正電帳法は企業にとって、国税関係帳簿書類の保存に関わる負担を軽減するといったメリットがある。電子計算機を使用して作成する書類のデータ保存が認められたことで、紙に印刷して鍵付きのキャビネットで保管し、台帳で管理するといった物理媒体を取り扱う手間が削減できる。データ活用の促進が見込める一方で従来の経理フローを見直す必要もあり、対応の進め方は企業によって異なる。

 まず、改正電帳法について理解度を聞いたところ「よく理解している」と「少し理解している」を合わせて6割超が「改正の内容を理解している」と回答した。「改正されることは知っているが、内容は理解していない」を含めると、9割超が改正を認知していることとなる。


改正電帳法の認知度/理解度

 「あまり理解していない/聞いたことがない」と回答した方は、主に取引関連書類や決算関連書類に触れる機会が少ないと思われる部門に所属していた。業務の中で関連する書類を扱う部門に属する人は、ほぼ全員が「知っている/理解している」状況のようだ。

地味な混乱……現場では「違法状態」の可能性も

 次に、今回の法改正が回答者の業務にどの程度関係するかを調査したところ「とてもある」と「少しある」を合わせて7割超が「影響がある」と回答した。ただし実態として、一部に「違法状態」の業務が残っている様子もうかがえ、現場が法対応に追い付いていない可能性がある。


電帳法の改正はどの程度業務に関係するか

 改正電帳法では電子データを保存するに当たって税務署長への事前承認が不要になったり、保存時のシステム要件が緩和されたりするなど、国税関係帳簿書類の電子化要件が緩和された。一方で電子取引に係る電子データは「事業規模問わずデータ保存が義務」となり、厳格化されている。例えば電子メールに添付された領収書やクラウドサービスを介して取り交わされた電子契約や電子請求書、ペーパーレスFAXなどで受け取ったPDFファイルなどは「データ状態での保存」が必須になる。

 実際に現場で取引書類や決算書類をどのように取り扱っているかを調査したところ、データ保存が義務化されている業務でも「紙に印刷してファイリングしている」という回答があった。

 「紙に印刷してファイリングしている」や「全て紙で運用している」など、紙で運用や保存をしている割合がデータ保存の割合を上回っているのは、「取引先から受領した取引関連書類」(44.8%)、「決算関連書類」(33.0%)、「国税関係帳簿(31.4%)の3項目だった。

 「取引先から受領した取引関連書類」がメールなどのデータだった場合、その情報は「データで保存」する義務がある。また、「EDIや電子契約SaaS、メールなどで取引したデータ」は全てデータ保存が義務となるが、「データで運用して紙で保存」している割合が16.1%ある。これらは改正電帳法に抵触する可能性がある。

 電子取引のデータ保存に際しては「真正性」と「可視性」の確保が要件として規定されている。「真正性」ではデータの訂正証跡を記録し、削除を禁止するシステムでの運用が、「可視性」では該当データをすぐに確認できるよう検索機能を確保する環境整備が必要になる。もちろん対応企業にはインセンティブもあり、保存や検索要件を満たしている帳簿は「優良な電子帳簿」と認定され、過少申告加算税が5%に軽減される措置が受けられることになっている。

 法対応を進められない企業が多いことから、一部の要件には2023年末までの宥恕(ゆうじょ)措置が設けられた。ただし既存システムの改修や運用変更を伴う改善に着手するとなると、残り時間は多くない。また、2023年10月の開始が予定されている「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」への対応も視野に入れる必要がある。

 改正対応に伴う現場での混乱や課題をフリーコメントで聞いたところ、「ルール関係が変わって慣れていない」や「全社的に周知されていない」といった声が寄せられた。「理解している人が少なく、社内では経理部門担当者が確認を進めている」など、新ルールの周知徹底にそれなりの工数をかけて運用している状況が見て取れた。また自社では対応できていても「電子化されていない取引先への対応が残る」といった課題を挙げる声もあり、まだまだ現場の混乱は残っている様子だ。

 今回の全回答者数261人のうち、内訳は情報システム部門が29.1%、営業・販売部門が14.6%、経営・経営企画部門が11.5%、総務・人事部門が11.1%だった。

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