トイレの困りごとを「トウコさん」が解決 TOTOのCX向上事例とは
TOTOは顧客相談窓口を自動化し、ウォシュレットに関する問い合わせの自己解決率とCX(顧客体験)を向上、電話問合せ比率の低減に成功した。情報システム部門にも活用される「自動化術」とは。
TOTOはAI(人工知能)チャットbotを導入し、ウォシュレットに関するユーザーの問い合わせの自己解決率とCX(顧客体験)を向上、電話問合せ比率の低減に成功した。情報システム部門のヘルプデスク対応にも応用されるAIチャットbotの活用術とは。
「トイレの"困った"を自己解決したい」ニーズに応えるAI
TOTOの温水洗浄便座ウォシュレットは、1980年の誕生以降多くの世帯や商業施設で利用されてきた。便器とウォシュレット、部品の組み合わせは何千通りもある。そのため、問い合わせの内容も多岐にわたった。
例えば、「新しいものに交換したい」「修理して使い続けたい」「メンテナンス方法を知りたい」という3つのケースでも、ユーザーの状況と使用する商品の組合せは複雑で、案内の内容は千差万別だ。
TOTOは、自動化が難しい複雑な問合せが入る顧客相談窓口に対する、「自分で調べたい」というユーザーの自己解決ニーズを、AIチャットbotで解決した。
「一人前になるまでに1年以上はかかる」と言われるオペレーターは、ユーザーに寄り添い、言葉から真因を読み解き、問合せに適切な答えを導き出す。TOTOの顧客相談窓口のAIチャットbot導入の取組みは、製造メーカーをはじめとした多くの企業に役立つものと考えられる。
情シスでもAIチャットbotを活用 ヘルプデスク自動化
TOTOにAIチャットbotを導入したKDDIエボルバは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延以降、社内システムに関する問合せ増加を受け、ヘルプデスクにAIチャットbotを導入して効果を検証した。
1年間導入したところ、問合せ量が増加したのに対し、電話やメールの比率が減少し、従業員による自己解決が推進する効果を得られた。1日あたりの入電数は34.6%削減している。
KDDIエボルバはTOTOに導入したサービスについて、「チャットbotを設計、構築する重要なポイントは対応範囲(スコープ)を明確にすることにあります。世の中で活用される対話エンジンは、AIエンジン自ら回答を生成するのではなく、あらかじめ用意したシナリオを基に、質問の意図を理解して回答するものになるため、用意していない質問には答えられません」と見解を述べた。
また、導入成功の要因については、「お客さまの問合せや依頼を分析する必要があります。『定型的な問合せの比率』や『サービス・製品の軸』『カスタマージャーニー軸』などを確認してスコープを絞り込み、お客さまが『分かりやすい回答』を提示できるテキストや図解を、常に改修することが成功要因の一つです。TOTOのAIチャットbot『トウコさん』が、ウォシュレット製品を使うお客さまのお役に立っていただきたい」と続けた。
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