Microsoft、サティア・ナデラCEOが語る、今後のビジネスを握る「6つのカギ」とは
Microsoftのサティア・ナデラCEOは、2022年11月16日に開催された日本マイクロソフト主催イベントのオープニングセッションに登壇した。インフラやデータ、AI、働き方など6つの領域に分けて、企業事例を交えながら今後重要となるテクノロジーについて語った。
2022年11月16日、日本マイクロソフトは「Empowering Japan's Future」と題したイベントを開催した。同イベントには、4年ぶりに来日したMicrosoftのサティア・ナデラCEOが登壇し、同氏は今後のビジネス戦略のカギとなる6つの領域について語った。
アプリケーションの95%がクラウドネイティブになる未来
「ビジネス環境が厳しさを増す中で、組織は一体となって限られたリソースでより多くのことを実現しなければならない」――。そう語り始めたナデラ氏は、それを実現するためのテーマとして「インフラストラクチャ―」「デジタルとアプリケーションの変革」「データとAI」「モダンワーク」「ビジネスアプリケーション」「セキュリティ」の6つを挙げ、それぞれの重要性とMicrosoftの取り組みを語った。その中から重要と思われる項目を抜粋して紹介する。
「インフラストラクチャ―」では、ナデラ氏は「2025年にはアプリケーションの95%がクラウドネイティブになるだろう」と前置きし、「Microsoft Azure」(以下、Azure)を用いたクラウドネイティブなインフラ基盤の有用性と、セブン銀行の活用事例を紹介した。同社はAzureへの移行に加え、「Emissions Impact Dashboard for Azure」でCO2排出量の可視化にも取り組んでいるという。
「データとAI」では、「2025年には世界中で生み出されるデータの10%がジェネレーティブAIから生成されるようになるだろう」とナデラ氏は語り、「Microsoft Ignite 2022」で発表された「Azure Cosmos DB」でPostgreSQLをサポートする「Azure Cosmos DB for PostgreSQL」についても触れた。また、AI活用の国内事例として、農業にMicrosoftの技術を活用するスタートアップARGIST(アグリスト)の取り組みを紹介した。同社は農業の高齢化を考え、自動収穫ロボットを使った作業の省人化や、AIを用いた収穫量の予測などに取り組んでいるという。
「モダンワーク」では、労働力と職場の再活性について語られた。ナデラ氏は「自社について『生産的だ』と考えるリーダーはわずかだが、現場の従業員の多くが『生産的だ』と認識している。これは『生産性のパラノイア』だ」「ハイブリッドワーク下で必要なのは『オフィスに来て人と関わること』だ」と働き方に対する問題点を指摘した。その上で「Microsoft 365」「Microsoft Teams」「Microsoft Viva」が活躍するとし、それぞれの有用性を語った。
「ビジネスアプリケーション」では、「AIデータファーストは全てのアプリケーションで起こっている」(ナデラ氏)とし、「Azure Data Factory」や「Microsoft Power BI」を用いたヤマハ発動機のデータ活用の取り組みを紹介した。また、川崎重工は「Azure Digital Twins」を活用して全ての工程を仮想環境で実行可能にしている。この他、ナデラ氏は「サプライチェーンの多くが柔軟ではない」とし、「Microsoft Supply Chain Platform」を紹介しながら、サプライチェーンの効率化について語った。
講演の最後にナデラ氏は「教育は平等に与えられなければならない」とし、「Azure Cognitive Services」を用いた沖縄大学のAI活用事例を紹介し、イベントを締めた。
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