Microsoft、セキュリティの急成長に対しクラウドは低調……ナデラ氏はどう考える
Microsoftのセキュリティ製品を使用する企業は前年比で33%増加している。セキュリティ事業は好調な一方、クラウド事業の雲行きは怪しい。CEOのサティア・ナデラ氏が考える今後の動向とは。
Microsoftが「大きな経済的逆風が第1四半期のクラウドコンピューティング事業に影響を及ぼした」と発表したことを受けて、同社の株価は2022年10月25日(現地時間)の朝に下落した。午前中の取引で株価は16.16ドル(6.4%)下落し、1株当たり234ドルとなった。
Microsoftは今後の業績については慎重な見通しを示しているものの、セキュリティポートフォリオの勢いは維持している。
明暗分かれた両事業へのナデラ氏の方針は
チェアマン兼CEOのサティア・ナデラ氏は「あらゆる業界における86万もの企業がMicrosoftのセキュリティ製品を使用しており、1年前と比較して33%増加している」と述べた。この中にはLumen Technologies、ING Bank、富士フイルムなどさまざまな企業が含まれる。
ナデラ氏は、2022年9月30日の2023年第1四半期の決算説明会で「Microsoftのセキュリティスタックを選択した場合、企業は約60%のコスト削減が可能である」と述べた。
ナデラ氏によると、4つ以上のワークロードを持つ顧客数は前年比50%増になった。顧客はMicrosoftのセキュリティ製品の拡張検知・対応とクラウドネイティブなセキュリティ情報、イベント管理技術を利用して、デジタル資産の安全性を確保している。
「当社はセキュリティやコンプライアンス、アイデンティティー、デバイス管理、プライバシーなど、あらゆるクラウドやプラットフォームに対応する統合されたエンド・ツー・エンドのツールを持つ唯一の企業だ」とナデラ氏はプレゼンテーションでアナリストに語った。
Microsoftは、ワークロードのクラウドへの移行を継続するよう企業に促すことは、セキュリティ保護と企業のコスト削減のために必要なことであるとする。
Progress Partnersのマネージングディレクターであるエリック・ベル氏は、「企業が当面ITやセキュリティへの支出を控えるという話は聞いていない」と述べた。しかし、人員削減やリースの解約など、他の方法で経費を削減している企業は存在する。
「クラウドへの移行は企業がより少ないコストでより多くのことを実施するための最良の方法だ。需要に見合った支出を行うことで、増大するエネルギーリスクやサプライチェーンの制約に伴うリスクを軽減するのに役立つ」(ナデラ氏)
ワシントン州レドモンドに本拠を置くMicrosoftは、第1四半期に前年同期比4%増である1株当たり2.35ドルの利益を計上し、売上高は前年同期比11%増の501億ドルとなった。
MicrosoftのCFO(最高財務責任者)であるエイミー・フード氏は「2022年末まで続くOEMメーカーの売上減少や、予想を上回る8億ドル以上のエネルギーコストを理由に、営業利益率が前年比で1ポイント低下する見込みである」と警告した。
「営業費用の増加を抑え、過去1年間に実施した大規模な人員投資によって生産性を高める」とフード氏は話す。
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