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給与、労働時間の“グレーゾーン”に対する最善の対応とは

従業員が定められた労働規則を無視した時、雇用主はどう考えるべきか。労働、雇用に関する弁護士が明快なアドバイスを送る。

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HR Dive

 就業規則で禁止されているにもかかわらず、従業員が定時前に出勤したり昼休みを返上して働いたりするケースがある。FordHarrisonの労働・雇用弁護士であるデヴィッド・カルテュ氏は、次のように語った。

 「従業員が規則を無視していたとしても、雇用者は労働時間への対価を支払わないという選択はできない。“疑わしきは従業員に払え”だ」

 彼の考えはシンプルだった。

なぜ雇用主の多くが賃金や労働時間に対して誤解しているのか

 雇用主は、まず顧問弁護士や人事コンプライアンスの専門家に相談することが理想的だとカルテュ氏は述べるが、それが困難な時もある。

 雇用主は昼休みを取らなかった従業員に、教訓として給料を支払わないことがある。この場合、給与からその時間を差し引くことになるが、これは法律違反だ。低賃金を下回る給料になることもあるようだ。

 カルテュ氏は公正労働基準法について言及する(注1)。この法律では、雇用主は非免除労働者(同法が適用される雇用者)に対して、最低賃金と週40時間を超える労働時間に対する残業代を支払うことが義務付けられている。

 では、従業員が労働規則を違反し続けた場合、雇用主はどうすればいいのだろうか。カルテュ氏は「その行為が続くようなら必要に応じて解雇する」と答える。

 フロリダ州は以前からFLSA(公正労働基準法)訴訟の温床だったが、カルテュ氏の本拠地である同州や南東部全域では日常茶飯事だという。「例えば、従業員の労働時間を短縮したとしよう。たとえそのうちの1時間を取り戻せたとしても、弁護士は弁護士費用の全てを手にすることができる」と述べた上で、「多くの場合、雇用主にとっては、非常に費用のかかる訴訟を起こすよりも、このようなケースを解決する方が合理的だ」と語る。

 また、雇用主が賃金を減額して不正に労働させた従業員を罰した場合、集団訴訟にさらされるリスクがある。多くの場合、雇用主は「小銭を稼ごうとしているが、やり方を間違えれば貯金箱を壊すことになる」とカルテュ氏は語る。

 さらに、同氏は「雇用主の多くが賃金や労働時間について誤解しているのは、非免除労働者と免除労働者の違いを理解していないからだ」と述べる。

 「多くの中小企業は、『清掃員に週800ドル払えばいい』『勤務時間を記録する必要はないし、残業代も支払わなくていい』と思っているが、そんなことはありえない、適用除外になるには、FLSAの定める一定の職務要件を満たさなければならない。法律事務所でさえ、労働者の分類に失敗することがある」(カルテュ氏)

 つまり、FLSAは分かりにくいのだ。しかし、法制度は寛容にはできていない。そこで、カルテュ氏が提唱する「迷ったら従業員に支払え」という言葉を思い出してほしい。

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