RPAの初期費用と運用コストの相場は? RPA先輩企業に聞くお金の話
RPAの導入障壁として、「初期費用」や「運用費用」が上がる。中にはコストの問題でリプレースを余儀なくされる企業もあるようだ。どれくらいの費用がかかるのか。
ここ数年でエンタープライズITとしての地位を確立したRPA(Robotic Process Automation)。導入した企業からは、効果の割にライセンスや運用費用が高いという声も聞こえてくる。そうした理由からツールのリプレースに踏み切る企業もあるようだ。
RPA活用の現在地を探るために、キーマンズネットは「業務自動化に関する意識調査2022年」と題してアンケート調査を実施した(期間:2022年9月14日〜10月17日、有効回答数:518件)。本連載は、全7回にわたってアンケート調査から得られた結果を基に活用状況と課題、発生したトラブルなどを紹介する。なお、グラフで使用している数値は、丸め誤差によって合計が100%にならない場合がある。
気になるRPAの初期費用、運用費用は?
まず、RPAのリプレースを検討したことがあるかという質問に対して、約5割の回答者が「検討したこともする予定もない」(46.6%)と答えた。一方、「良いツールがあれば追加、リプレースを検討したい」(28.6%)、「既にしたことがあるが、さらない追加、リプレースは検討していない」(17.0%)、「既にしたことがあり、さらなる追加、リプレースを検討している」(5.3%)、「はじめての追加やリプレースを検討中」(2.4%)と、半数以上がリプレース、またはリプレースを検討していた。
RPAのリプレースや追加に至る理由は何だろうか。フリーコメントで聞いてみたところ、「使い勝手が悪い」といった理由の他に、「ライセンス費用が高い」「運用変更に柔軟に対応できず、都度開発費が必要になる」「無料でできることが少なかった」「コンサルタントに任せていたが導入部門へのヒアリングやコミュニケーションが足りず、現場から理解が得られないロボットとなってしまった」など、費用に関するコメントが多く寄せられた。
RPAの導入企業は、導入や運用にどれほどのコストをかけたのだろうか。
RPAの初期費用はどのくらい?
RPAのライセンス費用や外部委託費、人件費などを含むイニシャルコストについて聞いたところ、「101〜500万円」(28.2%)、「51〜100万円」(18.0%)、「5〜10万円」(14.6%)が上位を占めた(図1)。
この結果をRPAツールのタイプ別に集計すると、図2〜4の通りだ。いずれのタイプも「101〜500万円」がボリュームゾーンで、RPAの初期費用に101万円以上かかっている企業が多数あることが分かった。
一方、RPAのライセンス費用や外部委託費用などを含む年間の運用費用については、「51〜100万円」(21.4%)、「5〜10万円」(19.9%)、「101〜500万円」(18.4%)と続く結果になった。
運用費用もRPAツールのタイプ別に集計すると、タイプによって年間費用が異なることが分かった。サーバ型は「21〜50万円」(19.6%)、デスクトップ型は「5〜10万円」(21.2%)、クラウド型は「51〜100万円」(25.0%)がそれぞれ最も高い回答率を示した。
本稿では、RPAのリプレースを検討する主なきっかけが「コスト」であること、さらにRPAの初期費用や運用費用を明らかにした。RPAを導入した企業は、自動化の対象範囲を拡大しながら継続的に効果を出すことが求められるが、初期費用や運用費用に見合った効果を生み出し続けることが難しいという意見もある。仮に、RPAによって蓄積した削減時間が大きな数字に見えたとしても、ワークフローの一部分しか最適化できていなければ、結局は人手による作業が必要になり、想定したメリットを享受できずに終わることも珍しくない。
今後は、削減時間に偏らないKPIの設計や、全社的なプロセス変革につなげるための導入ロードマップ、人手に頼らない業務プロセスの確立が求められる。
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