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優秀な候補者を引き付ける採用プロセスの特徴

テクノロジー企業が軒並み大規模なレイオフに踏み切った。一方で、多くの企業は近年の採用難を受けて2023年に労働力を維持するとともに、戦略的な採用活動を繰り広げるという。優秀な候補者を引き付ける鍵は、採用プロセスにあると専門家が語った。

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HR Dive

 HR領域においては、従業員が必要最低限の仕事しかしないという「静かな退職」をはじめ、「静かな解雇」「静かな採用」などさまざまなトレンドがある。そうした中でも、2023年に向けて人事の採用活動は活発化している。

 景気後退のうわさが飛び交い、IT企業の人員削減のニュースが後を絶たないが、ほとんどの経営者は“少なくとも今のところは”大規模なレイオフを計画していない。

 PwCが105カ国の4410人の最高経営責任者を対象に実施した調査(注1)では、回答者の73%が「2023年の世界経済の成長は低下する」と予想しており、PwCが12年前に経済に関する質問を始めて以来、ビジネスリーダーが最も悲観的であることが分かった(注2)。一方で、60%が「今後1年間にわたって労働力を削減するつもりはない」ことが明らかになった。

 その代わりに、企業はより戦略的な雇用を行うようになるだろうと人事担当幹部は述べている。雇用サイト会社Adzuna(注3)の最高マーケティング責任者ポール・ルイス氏は、これを「目的を持った採用」と特徴付けている。2021年末から2022年初頭にかけての爆発的な採用活動、つまり候補者が複数の内定を受け取り、企業が人材を奪い合った時期はとうに過ぎ去った。

 ルイス氏はHR Diveの取材に対し、「企業は大量の募集職種を埋めるために奔走するのではなく、質の高い候補者に焦点を当てるだろう」とメールで伝えている。

 では、企業が質の高い候補者を見つけるにはどのようなアプローチが重要なのだろうか。企業は採用プロセスであることに気を付けるべきだという。

優秀な候補者を引き付ける採用プロセスの特徴

 質の高い候補者を見つけるには、より良い採用エクスペリエンスを実現することが必要だ。

 「企業は、給与の透明性の向上や、求職者のゴースト化(候補者が採用プロセスにおいて雇用主とのコミュニケーションを一切絶ってしますこと)の防止などの取り組みを通じて、採用プロセスの透明性を高める必要がある。これは、適切な候補者を採用し、採用プロセスの最初から信頼を確立するために不可欠だ」とルイス氏は述べている。

 同氏は、企業がコストを削減し、候補者の関心を引きつけるために採用プロセスを合理化し、採用までの時間を短縮する方法を見つけるよう提言した。

 TELUS International(注4)の人事担当グローバルバイスプレジデントであるアルバート・ガラルザ氏は、同社では第一線で働く従業員の応募から内定までの時間を2時間まで短縮したと述べる。

 ガラルザ氏は、「面接プロセスだけで、会社の効率性を評価しようとする候補者がまだ大勢いる。候補者の中には、採用プロセスの進み遅いことは、企業自体の動きが遅いことを示すと考える人もいる」と話す。

 ガラルザ氏は、採用市場の競争率は過去2年間と同じ95%程度になると予想している。AmazonやMicrosoft、Twitter、Google、Facebookといったテクノロジー企業が軒並み大規模なレイオフを実行しているにもかかわらず、米国の失業率は依然として低水準にとどまっているという。

 「失業率が全体的に低いことから、多少の軟化は予想されるが、それほど大きくはないだろう」とガラルザ氏は述べる。

 だからこそ、企業の第一の仕事は、既存の労働力に満足することなく、従業員を維持することだと同氏は語る。

信頼関係を築き、今いる従業員にフォーカスする

 オンデマンドの求人マーケットプレースを提供するWonolo(注5)のジェニファー・シェワン氏(人材担当バイスプレジデント)は、企業が従業員の離職や退職を防ぐために、既存の従業員に投資することが最も費用対効果が高いと述べている。

 Wonoloは社内で学習と人材開発に投資し、社員が新しいスキルを身につけられるようにキャリアパスの作成に努めている。

 中小企業向けオンライン採用プラットフォームを提供するWizehire(注6)のカルメン・ブライアント氏(ワークプレースエキスパート兼マーケティング担当バイスプレジデント)は、最近の採用難を経験した企業はレイオフを見送って、2023年は労働力をため込むと予想している。

 ブライアント氏は、2023年には特に経済的な懸念が生じるため、企業は従業員との信頼関係を築くことに取り組む必要があると述べる。

 「従業員はビジネスの健全性について関心を抱くだろう。彼らの懸念を共有してもらい、信頼感を醸成するために組織の透明性を高め、課題に取り組み、解決策を練る機会として活用することが重要だ」(ブライアント氏)

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