残業時間の「2024年問題」対応状況は? 労務管理に関する調査結果
2023〜2024年に押し寄せる働き方改革関連の法改正対応。一部業界では時間外労働の上限規制が適用されるが、企業の労務担当者は対応できているのだろうか。freeeが発表した調査結果を紹介する。
働き方改革に関する法改正への対応期限が迫っている。2023年4月には中小企業を対象に月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられ、2024年4月には医療や建設、運輸業界に対して時間外労働の上限規制が適用される。後者は「2024年問題」とも言われ話題になっている。
会計・人事労務管理サービスを提供するfreeeによると、これらの法改正に対応しなければ罰金が課される可能性もあるというが、企業は対応できているのだろうか。2023年3月2日、同社は労務担当者を対象に実施した法改正対応に関する調査データを発表した。
法改正の認知度と対応状況は?
2023年の割増賃金率引き上げと2024年の時間外労働の上限規制について、労務担当者の認知度や対応状況はどの程度なのだろうか。
今回の調査によると、割増賃金率引き上げの認知率は74.3%、未対応または対応状況不明の割合は61.2%だった。認知度は高いが、対応できている企業は多くないようだ。
医療と建設、運輸業の「2024年問題」についての認知率は83.7%、未対応または対応状況不明の割合は45%だった。こちらは割増賃金率引き上げに比べて着手している企業が多いようだが、未対応の企業も少なくない。
担当者の負担感が浮き彫りに
法改正対応によって業務負荷の増加を感じるかどうかを尋ねた質問では、全業種では「増えた」と回答した人の割合は43.3%だったのに対して、「2024年問題」を抱える医療と建設、運輸業界ではそれぞれ60%、50.3%、52.6%だった。これらの業界の労務担当者は特に負担を感じている人の割合が多いようだ。
この状況について、freeeの和田矩明氏(HR事業 プロダクトマーケティングマネジャー)は「(中小企業の労務担当者は)多くの業務を兼任しており、目の前の仕事で手いっぱいになっているため、法改正対応や業務効率化にチャレンジできないのでは」と指摘する。
freeeは「2024年問題」対策として、社内に医療福祉専任チームと建設・運輸専任チームを立ち上げ、各業界の労務管理業務をサポートする。和田氏は「無理なく、安心して法改正に対応できるようサポートしたい」と抱負を述べた。
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