キーマンズネット編集部では「IT人材と働き方に関するアンケート」を実施した(実施期間:2023年2月8日〜3月3日、有効回答数532件)。「IT人材不足」「スキルアップ・リスキル」「働き方・転職」「職場の人間関係」の4回に分けて、調査結果を紹介する。
第1回となる今回は、企業におけるIT人材不足状況に関する調査結果をお届けする。
どのような企業でIT人材が不足しているのか
「IT人材不足」が叫ばれる昨今だが、どのような企業でIT人材が不足しているのだろうか。業種や従業員規模別の結果を見ると、IT人材が不足しがちな企業の特徴が見えてきた。
今回の調査結果では、約8割の読者が勤め先でIT人材が「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した。業種別で見ても差がなく、どの業種でもIT人材は不足しているようだ。
従業員規模別で集計した結果は図1の通りだ。
従業員10人以下の企業は「特に過不足はない」という回答が多い。従業員が少ないため、IT資産や環境の整備が難しくなく、現状の人員で賄えていると思われる。
企業の規模が大きくなるにつれてIT人材が不足するが、従業員が5001人以上になるとその傾向はやや落ち着く。分業が進み、IT人材不足を意識せずに済む部署も増えるのだと思われる。
どのようなIT人材が不足しているのか
多くの企業でIT人材が不足していることが分かったが、その中でも、どのようなスキルを持った人材が不足しているのだろうか。
どの職種の人材が不足しているか聞いた質問では、「プロジェクトマネジャー」と回答する人が最も多かった。業種別の集計(図2)を見ると、特にIT関連業でプロジェクトマネジャーが不足していることが分かる。多くのITプロジェクトを回すために、それらをマネジメントする人材が特に求められているようだ。
サービス業ではIT戦略策定やセキュリティ担当者の不足が目立った。業種によってはこれからDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組む企業も多く、そのための戦略を描く人材が求められていると思われる。
従業員規模別に集計した結果は図3の通りだ。
11〜500人規模の企業においては、「情報セキュリティ担当者」「インフラ関連エンジニア」「ヘルプデスク担当者」「IT資産管理担当者」などのいわゆる「情シス」人材の不足が顕著だった。企業規模の拡大に伴って管理すべきIT資産が増え、その対応に追われる企業が多いのだろう。
IT人材の入社理由 やはり「給与」?
多くの企業で不足しているIT人材は、どのようなポイントを見て企業を選ぶのだろうか。IT人材と呼ばれる職種に就いている読者に、現在勤めている企業への入社理由をフリーコメントで聞き、結果をワードクラウドで整理した(図4)。
最も多かった回答は「業務内容」で、次に多かったのが「給与」「待遇」だった。この結果は転職者全体を対象にした調査(注)と同様の結果となっている。どのような職種でも、自分のスキルを生かせる業務内容で、かつ待遇に満足できることが重要なようだ。
「自宅から通いやすいから」という回答も多かった。コロナ禍が落ち着き、少しずつオフィスへの出社も増える傾向にある。こういった理由で入社を決める人も今後増えていくかもしれない。
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