JR大阪駅に対話型AIを搭載した券売機が登場 何ができる?:同音の駅名も文脈から自動判定
AI券売機に「せんだい駅まで」と話しかけると、行先はどこになるだろうか。「みどりの券売機プラス+AI」の稼働が始まった。
既存サービスに対話型AIを加えることで顧客満足度を高める取り組みの裾野が広がっている。大阪駅にAIと対話しながら切符を購入できる「みどりの券売機プラス+AI」が登場した。受話器を通じて話しかけることでAIが利用客の要望を理解して切符購入をアシストする。
大阪駅「うめきたエリア」でAI搭載みどりの券売機が稼働
みどりの券売機プラス+AIは、2023年3月18日に大阪駅に新規開業したうめきたエリアに導入された。鉄道情報システム(JRシステム)が開発した「AI自動応対機能」に日立製作所の対話型AIエンジンを搭載した。JRシステムが培ってきた切符販売の接客応対ノウハウを生かしてバーチャル駅員とのスムーズな会話による切符購入を実現する。
JR各社は、少子高齢化に伴う労働人口の減少やコロナ禍での非対面による切符販売ニーズの高まりを受けて業務の自動化を推進している。みどりの券売機プラス+AIは、バーチャル駅員との音声対話を通じて、特急券や乗車券を有人窓口と同じように購入できる。
JRシステムによれば、切符販売に特化したAIであることが大きな特徴だ。利用者が「せんだい駅まで」のように発話した場合、宮城県の「仙台」や鹿児島県の「川内」を候補として案内する。「鹿児島県のせんだい駅まで」であれば自動的に川内を案内する。
音声中心の操作としたことで、券売機のタッチパネル操作に不慣れな利用者もスムーズに切符が購入できる。会話内容は券売機上部のモニターに文字で表示されるので、耳や言葉が不自由な利用者のサポートできる。払い戻しなどのバーチャル駅員で対応し切れない業務は、それまでの接客内容をコールセンターのオペレーターに引き継ぐので利用者が言い直す必要がない。
音声認識は、日立の「多言語対応プラットフォーム」の音声認識機能を活用した。音声で入力された内容をテキスト化し対話エンジンにつなぐことで、事前に登録された想定問答に基づいた回答を提示する。実際の駅員とのやり取りを想定したシナリオや言葉の言い替えを考慮してチューニングを実施したり、蓄積された対話ログも活用したりして継続的に改善する。
多言語対応プラットフォームは、日本語、英語、中国語(北京語)、韓国語に対応する。日立は、自動化したい業務シナリオを作ることで切符販売以外でもさまざまな有人接客の自動化が図れるとする。
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